もちろん、事業領域をライフスタイルやテクノロジーにまで広げたからといって、すぐにうまくいくわけではありません。ノウハウがない社員がひたすら考え、ひたすら汗を流して、失敗している。でも、失敗の蓄積こそがノウハウになります。教育の一環として、会社が傾かない程度の失敗は社員にさせるべきだと思います。99の失敗があるからこそ、1つの大成功を生む。1トライで1勝、みたいな簡単なゲームはもはや不可能なんです。

 だから、年に1つ、2つずつブランドを新しくつくる。アパレルという斜陽産業の中で、業界では後発のストライプインターナショナルグループが、売上高1103億円(2015年1月期)という数字を、下克上で実現した一番のポイントは、利益の3割をR&D(研究開発)に使ってきたことなんです。R&Dへの投資は、売上高の何%と考えることが多いと思いますが、僕たちは、主力事業の利益の3割を新規事業に投入しようと考えてきました。

 主力のアース ミュージック&エコロジーが全社の営業利益の26%を稼ぎ出した年は、このブランドの営業利益の3割を新規事業に投じました。アパレルにおいても、より広い小売業という領域においても、主力事業の営業利益の3割を考えることもなく「次の新しい事業に突っ込め」という大方針を出している会社はうちしかないでしょう。

 例えば主力事業の営業利益が30億円だったとして、このうち10億円を、新規事業領域でどう展開するか、未来事業にどう投じるかを考えるのが、僕たちの挑戦であり、そのために勇気を振り絞っています。この勇気がなければ会社は衰退します。この勇気があったからこそ、下克上でマーケットを切り開くことができました。

 社内では今、2年前に投資した事業、3年前に投資した事業、4年前に投資した事業が、合計で何本も動いている状態です。そうやって新事業をいくつも走らせていると、あるときにポコッと、ヒットするんです。突然ユーザーが増えてきたり、何のプロモーションもしていないのに、話題になることがある。この瞬間にもう一発、その事業にがつんと追加投資をするんです。

 例えば、ハンドクリーム、ボディークリーム、化粧ポーチなどを扱っている「Maison de FLEUR(メゾン ド フルール)」というブランドがあります。僕たちには全くノウハウがなかった領域ですが、これがまさに今、消費者に圧倒的に受け入れられています。新宿駅直結の店舗「ルミネ新宿」の中で、常に1坪当たり月100万円を売り上げるブランドになったんです。

化粧品ブランドのMaison de FLEURはルミネ新宿で1坪当たり月100万円を売る