アカデミー賞にエントリーされるのは、同賞公認の映画祭で最優秀賞に選ばれるような作品です。ムームはまずそのうちの1つ、米国のナッシュビル国際映画祭で2016年4月、特別賞をもらいました。ほかの国際映画祭でも次々と賞を獲得しているほか、約30の国際映画祭で公式ノミネートが決まっています。

 実は、この映画にセリフはほとんどありません。音楽と映像を中心にストーリーが進んでいくのですが、言葉がほとんどなくても大人も子どもも泣けるアニメです。日本の素晴らしいCG技術も存分に発揮されています。アカデミー賞へのノミネートの可能性は決して低くないはずです。

たとえコケてもかまわない

 “洋服屋”がなぜ映画作りを始めたのか?
 それは、アパレル事業だけでは企業としての発展が望めないからです。長いデフレを経て、お金に余裕がある人たちですら、今や3万円のデニムではなく3900円のデニムを買う時代になりました。

 3万円分を稼ぐには、「洋服+α」の売り上げが必要です。できるだけ広い分野で関連商品の売り上げを積み重ねなくてはなりません。

 映画制作もその一環なのです。この3年で3本の映画やアニメに投資し、収益化(マネタイズ)を図っています。今後、映画のキャラクターを使った洋服を作るなど、アパレルと絡めたライセンス・ビジネスにつなげられたら理想的だと思っています。

 具体的にどんなターゲットにはまる商品になるかは、ムームがどんなルートでヒットするかによるでしょう。テレビの子ども向け番組で紹介されれば、児童向けのぬいぐるみやTシャツといった洋服に、百貨店やアパレルのセレクトショップなどで扱われれば、流行に敏感な大人に響くグッズになるかもしれません。

 いずれにしても、アカデミー賞にノミネートされるか否かで、流通関係者や消費者の関心の度合いは大きく変わります。マネタイズの成功率を上げるためにも、アカデミー賞を狙いたいところです。

日本の優れたCG技術を守ろうと出資した