多くの経営者が悩んでいるように、確かに今の若手は「個」で見ると力は弱いかもしれません。でも、チームでの力はかつてないほど強い。個の力が100だとしたら、チームになると500くらいになるだろうと僕は思っています。

 今、新人教育に携わる中堅社員のリーダーは、個の単位で物事を考え、個で強くなってきた世代です。彼らが育ってきたのと同じように、20代の社員に対して個を磨く教育をしようとしても、うまくいかないでしょう。

 それよりも視点を変えて、チームをこよなく愛している若手社員たちをどう生かすかを考える組織をつくらなければならない。「どうやってチームで成果を上げさせるか」「チームでどんなKPIを目指すか」「チームで脱落者が出たときにどうサポートしていくか」などに注力していくべきなのです。

公私混同はアリかナシか

 チーム力を上げるために、大切な考え方があります。僕は入社式のときに、面白いディスカッションを通してそれを新入社員に伝えました。

 テーマは「公私混同はアリかナシか」です。

「真面目で面白くないリーダーには誰もついていかない」と石川社長(写真:菅原ヒロシ)
「真面目で面白くないリーダーには誰もついていかない」と石川社長(写真:菅原ヒロシ)

 新入社員たちの意見はきれいに半々に分かれました。公私混同に賛成派の人は、「先輩のさまざまな性格を知ったうえで働いたほうが成果が出せる」と言いました。

 一方で反対派の人は、「仕事を本気でするので、プライベートは仕事なしで友達とガス抜きをしたい」と言いました。

 ここから見えてきたのは、両方ともベースに「仕事のパフォーマンスを上げたい」という思いがあることです。

 ですから僕は「同じチームには、公私混同が好きな人も、公私混同が嫌いな人もいます。自分と考え方の違うメンバーは必ずいる。でもその目的は同じく仕事です。それを踏まえて、チームプレー、つまり店舗の運営をしてほしい」と伝えました。

 もう1つ、面白いことが分かりました。

 入社式でこそ公私混同アリ派ナシ派はそれぞれ半数になりましたが、実は入社前にインターンで働いた新入社員たちは、当初「公私混同NG」が多かったのです。それがなぜ「公私混同OK」に変わったのか。

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