ところが、短大・専門学校生と話したときのことです。「正社員になるのは怖い」と言うんです。理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。

 「インターネットを見ると、どの会社を調べても悪いことばかり書いてある。会社説明会では、いい話しかしないのに。どちらが本当なのか分からないから、アルバイトとして“お試し入社”したい」

 つまり、社員登用があるという前提で、辞めやすいアルバイトとして働きながら、ネットの情報が正しいのかどうかを自分の目で判断したいということです。これがネット社会の若者の新しい考え方なのだと、納得しました。

若者を会社に合わせるのではなく、会社を若者に合わせたい
若者を会社に合わせるのではなく、会社を若者に合わせたい

 確かに、ネットの検索窓に「会社名」「ブラック」と打ち込めば、ほとんどの企業のネガティブな書き込みが見つかります。正社員には「責任が重い」というマイナスのイメージしかないのかもしれません。

 ならば、若者を会社に合わせるのではなく、人事制度を若者に合わせようと考えたのです。「全員正社員」制度を止めたところ、PAというポジションにどっと応募が集まりました。正社員の比率は今、75%程度です。

 正社員とは、会社への高いロイヤルティーを持ち、一緒に未来を切り開こうと長く勤めてくれるスタッフの代名詞のようなもの。大切なのは雇用形態ではなく、彼らがのびのびと力を発揮できる環境を整えることです。過去の成功体験に固執して、会社の発展を支える原動力を失っては本末転倒です。

前言はいつだって翻していい

 ほんの1年前まで、僕はメディアで「全員正社員にこだわる」と言っていました。当時は、それがすべてだと言い切っています。今は前言を大きく翻している。

 正直、今、話をしていても不安です。来年にはもう違うことを言っているんじゃないかと。毎年、自分の発言を振り返るたびに、「なんて古いことを言っていたんだ」と焦ります。

 でも、アップデートできなくなったら、経営者は終わりです。僕の強みは「捨てられること」。その瞬間、いいと思ったことは全力で押し進める。そして、違うと思った瞬間に止める。どれだけ大声で言ったことも、文字に残っていても、です。

 アップデートを繰り返すのは臆病だからかもしれません。「成功した」とうぬぼれていると、あっというまに衰退していく。そうやって傾いた大企業も、倒産した例も、たくさん見てきました。

 事業を継続できるかどうかは、どれだけアップデートを繰り返すかにかかっています。これからも決して止まれない。ゴールはありません。常に進化を目指し、泳ぎ続けていきたい。

 この連載では、止まれない僕の姿を伝え続けたいと思っています。

 次はなぜ「僕が映画やアニメに投資するワケ」。
 意外と深い理由があるんです。

(構成:鈴木裕美)

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