では、どのような視点を取り入れることが必要なのでしょうか。「社会環境の変化から市場トレンドが動き、そこから新たなニーズが発生し、参入余地が生まれる」という原理を考えますと、「市場トレンド」「顧客ニーズ」「そこから生まれる参入余地」をいかにして捉えるか、という視点が重要になります。そして、生まれた余地に対して、「自社のノウハウ・技術」を活かしていくことが勝ち筋を生み出す秘訣なのです。

「3T分析」でブルーオーシャンを生み出す

 つまり、「トレンド(T)」「ターゲットのニーズ(T)」から参入余地を導き出し、そこに「自社のテクノロジー(T)」を活かすという「3T」の捉え方が重要になります。

 そもそも独自性の高いビジネス・商品とはどうやって生まれるのでしょうか。その基本となるのは、ポジショニングです。他社が参入していない領域をいかに探し出すかが鍵となります。前回は、たった5~6年で起こってしまったパン市場における「トレンドとニーズの変化」を説明しましたが、これも3Tで見ると、新たな余地が見つけられます。

 具体的には、デフレ状況において低価格志向が高まり、外食、ファストフードの価格が低下してきていましたが、この間に社会環境の変化が起き、ポジショニングに変化をもたらしたのです。

 下の図のように、縦軸に価格、横軸に好みを入れると、パン革命が起きるまでは、ハンバーガー市場も左下の領域が競争状態となっていました。ところが、パン革命により顧客ニーズが右側へシフトしてしまったのです。そこに生まれた余地に、モスバーガーが従来からの戦略を踏襲した結果、うまくポジショニングでき、ブルーオーシャン状態となっているのです。

ハンバーガー市場の余地変化
■ポジショニングマップによる検討
ハンバーガー市場の余地変化<br />■ポジショニングマップによる検討
社会環境の変化とポジショニングの変化
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 競合回避を考えるなら競合ばかりを見るのではなく、顧客とトレンドを見るべきなのです。市場と自社の強みや弱みを見ればいいだけの時代は終わりました。社会環境の変化から生まれる市場の参入余地をいち早く見つけることができるCPU(頭脳)が、今、ビジネスパーソンに求められているのです。

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