ビジネスの分析・立案活動といえば、市場環境を「O:機会」「T:脅威」、自社の状況を「S:強み」「W:弱み」として分析するSWOT分析を思い出す人も多いでしょう。ただ、この手法は、現代ビジネスにおいて多くの問題を抱えています。

「SWOT分析」は古いCPUのようなもの

 その代表格が「分析の浅さ(タテ視点の不足)」です。例えば、SWOT分析でよく出てくる内容は、次のようなものばかりです。内容をタテ視点で見てみますと、

●ロボットや介護業界が伸びている(機会)
 ⇒そんなことは分析しなくても分かっている。その中のどういった余地に参入するかが重要
●ビジネスのグローバル化(脅威)
 ⇒だから何が問題なのかが不明確。グローバル化しても関係ないケースも多い
●他社にはない○○技術(強み)
 ⇒○○技術の何がすごくてどういった市場参入余地に活かせるかが重要。持っているだけでは宝の持ち腐れ
●市場動向を捉えるマーケティング力(弱み)
 ⇒マーケティング力が弱みなのは企業全体の課題。自社の業界では、どういった情報をつかむことが必要で何が取れていないかのほうが重要

 このように、タテ視点で見てみると、「既知のこと」「当たり前のこと」「だからどうするのかが不明なこと」ばかり並んでいます。当然、そういった浅い分析からは、浅い成長戦略しか導き出せないでしょう。「SWOT分析の中身」「強みを機会に活かす」といった分析視点、そこからの「戦略の立案」のすべてが浅いのです。

 そもそもSWOT分析は、1960年代から70年代にかけて開発された手法です。当時、日本は高度経済成長期の真っ只中。経済が大幅に発展している状況では、機会を早く捉え強みを生かすことが重要でした。いかに早く工場を作るか。いかに早く店を開店させるかが勝ち筋の1つでもありました。その中で、この手法は「手っ取り早い分析」としては重宝されました。

 ところが、現在の飽和化・複雑化したビジネス環境において、この程度の分析で簡単に成功を収められるなら、ほとんどの企業が大成功を収めているはずです。要は、SWOT分析は、旧式のレーダーを用いた古いCPUで、その活用方法を誤ると、成長どころか、失策を重ねてしまう可能性もあるのです。