耳に残る「音」の繰り返しに加え、「視覚」に訴える高度なテクニックも小池都知事は使いました。ジェスチャーです。

 例を挙げましょう。

「補助動作」で視覚的インパクト

 「皆さんのお一人お一人の力で、私を一段一段と上にあげてください」と言う時、彼女は「お一人お一人」と言いながら右手の人差し指を1本立て、相手に押し付けるようにしっかりと振りました。さらに「一段一段」と言いながら、今度は手のひらで段を作りました。

 このように言葉の意味を補完する動作を「補助動作」といいます。言葉の意味を強め、見ている人にとって理解しやすく、印象深いものにします。もし万が一、言葉が弱く十分伝わらなかった場合でも、視覚的なインパクトを残します。

 この技法は手軽にできますからぜひ実践してください。「一人ひとり」「一段一段」は小池都知事でなくても、様々なスピーチでも使いやすいワードです。手振りを入れて使ってみましょう。

 スピーチにうまくジェスチャーを入れるためには、原稿づくりの段階から、言葉の意味に一番ふさわしい動作を考えておくことです。そして、「ここで両手を大きく開く」などと原稿に書いておくのです。

 欧米人と異なりジェスチャーを入れて話す習慣のない日本人にとっては、ハードルが高いかもしれません。ですが、これは相手に伝えるために欠かせない技法です。