【メソッド3】自社で(???)を育て季節感を演出

 

 さらに、たねやでは商品開発以外に和菓子店として大切にしていることがあります。

 「日本の美しさというのは四季があること。お菓子だけじゃなくて店の構えも含めて四季をお客さんにどう提供していくかを考えました」と昌仁さん。

 四季のある日本において、古くから和菓子はそれぞれの季節に応じて作られてきたものです。そんな季節感を演出するため百貨店を含む全国のたねやの店舗には季節に応じたディスプレーが施されています。このディスプレーに使われている山野草を自社で育てているのです。へぇ~徹底していますね。

 この山野草をつくる、「たねや農藝 愛四季苑(はしきえん)」の木澤千鶴園長は「百貨店ではなかなか自然を感じられないので、お店に来て季節を感じて頂きたいんです。毎週70鉢くらいを生けて発送しています」と言います。

 ま、毎週ですか! その時期に一番あったものを送るために育てている山野草は、年間約500種類にものぼるそうです。しかも、各店舗の雰囲気に合わせることはもちろん、店のどの部分に置くかまで計算して生けているので、鉢の近くには店舗名の木札が置かれています。たねやのお店に行かれたことがある方はお分かりかもしれませんが、たしかに、百貨店の限られたスペースであっても、鉢植えの草花が飾られていますよね。それは、「和菓子だけでなく、店構えからも季節感を楽しんでほしい」という気持ちからでした。しかし、自社で育てているとは知りませんでした。なんと、こちらを目当てに毎週お店に来られる百貨店のお客様もいらっしゃるそうです。昌仁さんの思いは、ここでもしっかりお客様に届いています。

【メソッド3】自社で( 山野草 )を育て季節感を演出

 最後にメソッド4を見てみましょう。

【メソッド4】斬新なスタイルで(???)にも革命を起こす

 たねやは和菓子の老舗として不動の地位を築いてきましたが、実は和菓子以外も手がけています。聞いたことがある人も多いはず、そう、「クラブハリエのバームクーヘン」です。たねやではバームクーヘンを始めとする洋菓子を、60年以上も前から展開しています。

 
たねやは「クラブハリエのバームクーヘン」も展開している
 

 「和菓子」のたねやが洋菓子を売り始めたきっかけは、ウイリアム・メレル・ヴォーリズ氏との出会いでした。1905(明治38)年、アメリカから来日し、大丸心斎橋店や関西学院大学の設計など建築関係はじめ様々な分野で日本に西洋文化をもたらした建築家。そのヴォーリズ氏が「たまたま私どもの店の前に住んでおられて、この田舎にいながらヴォーリズさんのおかげで西洋のものがたくさん入ってきました」と昌仁さんは話します。

 

丸ごと一本バームクーヘンを見てほしい

 

 ヴォーリズ氏の影響で、51年、当時周辺ではまだ珍しかった洋菓子の販売をいち早く始めました(後にグループ企業として株式会社クラブハリエを設立)。特に今では「クラブハリエのバームクーヘン」といえば誰もが知る人気商品ですが、昌仁さんは「世の中に知られるようになったのは、15年ほど前ですからね」と振り返ります。

 そのきっかけは、実は、これも社長の子どもの頃の実体験だったと言います。

 「当時まだ自宅のそばにお店がありましたので、家に帰ると工房へ行ってバームクーヘン1本をガブリと丸かじりしていたんです」

 うわ~、うらやましいですねぇ!

 「これも息子の特権やなと、思っていたのですが、この1本の状態のバームクーヘンをお客さまに見てもらおう」

 子どもの頃に感動を覚えたバームクーヘンの味とフォルム。その感動をそのままお客さんに伝えようと、99年、阪神百貨店に初のバームクーヘン専門店を出店した際に、店内に何本も丸ごと吊り下げ、お客さんの前で切って売り始めました。

 これが大好評となり、ガラス張りにして製造工程までを見せる「ショップ イン ファクトリー」の先駆けとなったのです。

 昌仁さんは「『工場が売り場』にしたかったんです。職人にしか味わえない醍醐味を展開しました」と振り返ります。

 ちなみに、今度は人気が出すぎて、その場で焼いて売るスタイルは百貨店では追いつかず、現在、関西で焼きたてのバームクーヘンが食べられるのはラコリーナ近江八幡のショップのみ。こちらは、焼きたてバームクーヘンを求めて週末には大行列できて、嬉しい悲鳴を上げています。

【メソッド4】斬新なスタイルで( 洋菓子 )にも革命を起こす