そして、右田さんのサバへの愛情、多くの人に広めたいという思いが、地元の人たちの心を動かし、ついにエリートサバが、右田さんに卸されるようになりました。ブランド魚の流通ルートに変革をもたらしたのです。

 右田さんの想いは、これだけではありません。水揚げされた最高級のサバを、一番良い状態でお店に直送しようと、漁場近くの急速冷凍できる工場と契約しました。右田さんにとっては「鮮度を守りお客様に美味しく食べていただくには必要なもの」と、投資も惜しみませんでした。

 こうして右田さんの作るサバ寿司にはエリートサバが使われるようになりました。右田社長自らが親しみを込めてこれを「とろさば」と命名し、2007年、ネタに使ったサバずしの専門店、鯖やがオープンします。

 サバ寿司の味はもちろん、ピザのデリバリーなどに使う三輪バイクの屋根にサバの模型を取り付けた「サバイク」と名づけたバイクで配達をするなど、右田社長のユニークなPRもあって、瞬く間に人気となります。

 そして12年、ついに念願だった阪急百貨店うめだ本店への出店をかなえたのです。近畿圏にお住まいの方はご存知でしょうが、全国の皆さん、阪急うめだ本店にお店を出すことが、いかに大変かはお分かりいただけますでしょうか?

 右田さんの思いは「これで、また多くの皆様にサバ寿司を食べていただける」と、サバへの情熱が益々強くなっていきました。

【メソッド1】( 流通ルート )を確保し最高級のサバをより身近に

 次にメソッド2を見てみましょう。

【メソッド2】毎週(???)を行いサバ料理の可能性を広げる

 「とろさば」の流通ルートを確保したことで、最高のサバ寿司を安定して販売することができるようになった鯖や。この美味しいサバを、より多くの人に知ってほしいと、2014年、サバ料理専門のレストラン「SABAR(サバー)」を開業します。

 「とろさば」はもちろん、美味しいサバが食べられるということで、店内は連日大賑わい。そして、サバ料理の豊富なメニューに驚きます。

 

世界中でサバ料理は食べられています

 

 正直、サバ料理って、そんなにバリエーションがあるのか気になりますが、右田さんは「レシピだけなら300種類くらいありますよ」と話します。

 さ、さんびゃくですか?

 「実は、サバは世界中で獲れる魚なので、その土地に根付いた、様々なサバ料理があります。どんな、料理にも合う万能な魚なんです」

 正直、そんなにバリエーションがあるとは知りませんでした。以前「サバサンド」という、サバのサンドイッチを初めて目にしたとき「魚にパンって、そんなあほな!」と思いましたが、これが絶妙に美味しかったことを思い出しました。トルコの名物料理だったんですよね。

 サバが苦手な人にも美味しく食べてもらいたい! という右田さんの思いから、メニューのバリエーションを増や続け、そこから厳選されたお店に並ぶメニューの数は、サバにちなんで38。今でも、外部からフードコーディネーターを呼んで、週に1回新メニューを開発しています。

 例えばチーズとサバが入った「いぶりがっこと、とろさば燻製のクリームチーズ」は珍しい組み合わせですが、北欧では一般的な食べ方だそうです。

 また、トマトとの相性も良いらしく、トマトとサバとオリーブオイルを一緒に加熱するとコクが出るんだとか。その名も「ボーノ! シチリアーノ! サバーノ! トマト煮ーノ!」という、いかにも大阪人が考えそうなメニュー名の料理も、イタリアでは当たり前のように食べられているトマト煮をヒントに作ったメニューです。たしかに、どのメニューも美味しいんです!

 
「ボーノ! シチリアーノ! サバーノ! トマト煮ーノ!」
   

 お客様は「SABARに行こう」と決めた時点で「サバを食べたいモード」になっています。こうなると、同業他店がないためSABAR以外に浮気されることがないのです。これこそが、テーマを絞り込んだ専門店の強みです。

 お店もメニューだけでなく、徹底的にサバ(38)にこだわります。座席数は38。ランチの開店時間は11時38分。(ちなみに先ほど紹介したSABAR 阪急三番街店は、施設の都合上11:30~オープン)グラスにも「おつかれサバです!」の文字が入り、トイレの表記も「お殿サバ」「お姫サバ」と、数えていけばキリがありません。大阪生まれ、大阪育ちの右田さんならではの、この「サバ遊び」は、笑いを誘うと同時に、徹底的な「サバ愛」のお客様へのメッセージでもあります。

 右田さんは「まだ皆様の知らないサバ料理や、美味しいサバを食べた感動を人に伝えたいんです」と話します。

 右田さんは、さらにもっと多くの人にサバの良さを広めようと大阪だけでなく、京都を始め東京・名古屋、そしてシンガポールまで、わずか3年で「SABAR」を13店舗もオープンさせました。

【メソッド2】毎週( メニュー開発 )を行いサバ料理の可能性を広げる