さらに島留学してくる生徒に対しては、寮費や里帰りの交通費を補助するなどの制度を設けました。その結果、2014年度には推薦入試倍率2倍と県内で最も倍率の高い学校となりました。さらに、島で唯一の学習塾である「隠岐國学習センター」では英語や数学だけでなく、自分たちの将来のことや、島の問題について自ら考え話をするコミュニケーションスキルを高める学習も行っています。

 兵庫県から島留学に来ている刑部湖香さんは「休みの日でも寮にいることはありません。外に出て漁の仕方や案山子の作り方など多くのことを島の皆さんに教わっています」と話します。また、海士町出身の瀧川七海さんは「カラオケとかもちろん行きたいけど、それはいつでも行けます。ここでしかできない学びと気づきが海士町にはたくさんあります」と2人共とてもしっかりと話してくれました。

 筆者の高校時代を振り返っても、「遊びたい!」「サボりたい!」が間違いなく先にありました。いや、ほぼそれしかありませんでした。全くお恥ずかしい限りです。しっかりと島の将来を考える若い世代、そして、その貴重な経験を地元に持ち帰る島留学生。海士町のみならず、日本の未来は決して悲観したものではありませんね。

【メソッド4】島の未来の為に( 教育制度 )にも新ルールを作った

 では、ここで「海士町」の成功メソッドをまとめてみましょう。

【海士町の「奇跡の復活」メソッド】
【メソッド1】日本一( 給料 )の安い自治体に
【メソッド2】島まるごと( ブランド )化
【メソッド3】総人口は増えないが( 活力 )人口が増えた
【メソッド4】島の未来の為に( 教育制度 )にも新ルールを作った

 毎回番組では、取材の最後に、「おとなフィロソフィ」と名づけて、経営者やリーダーに企業理念や経営哲学を端的に語ってもらっています。

 山内さんに「おとなフィロソフィ」を聞いてみました。

コンビニもないけれど

 「『ないものはない』なんです。島にはコンビニはじめ便利なものはありません。でもそれに勝る大切なものが海士町にはあります。そのあるものを活かすんです」

「ないものはない」が島からのメッセージ

 「少子高齢化」「財政難」という問題は地方の自治体だけでなく、日本全体が抱える問題ですが、海士町はその問題を解決していくモデルケースを、役場と島民が一丸となって示していきました。そして海士町で見かける「ないものはない」というポスターの文字は我々に様々なメッセージを与えてくれています。

 職場においても、家庭においても、また生き方においても「ないもの」を嘆くのではなく「あるもの」をどう活かしていけばよいのかを改めて突きつけられているような気がします。

 筆者自身も、もう1度身の回りにあるもの、そして、現在の状況を見つめ直してみようと思います。きっと今まで当たり前と思っていた「あるもの」が、かけがえのない輝きを放っているはずですから。

(今回の記事は「~オトナ度ちょい増しTV~おとな会」2015年9月30日分の放送を元に構成しました。編集:日経トップリーダー

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