【メソッド3】総人口は増えないが(???)人口が増えた

 過疎化が進む地域で取り入れられている政策に「移住者を受け入れる」という制度があります。海士町は各地でよく見られる政策よりもさらに一歩踏み込んだ制度を導入しました。

 ここでも重要なのは「持続性」。山内さんは話します。「島の持続性に必要なものは『人材』なんです。海士町に来られて住まれる方は、『景色がいいので老後を楽しむ』という世代ではなく、40代以下の働く方が多いですね」と。全国の多くの地域では、空き家を活用し家賃を補助する制度がありますが、海士町は農業や漁業に携わる移住者に対し役場が住宅を作り、月に15万円を支給。さらに地元の「師匠」も紹介します。

役場が準備した移住者のための住居

 この至れり尽くせりの制度もあって、移住する方が年々増えてきています。実際、海士町に移り住んだ丹後貴視さん(26歳・2015年取材当時)は、大学時代に海士町を訪れ、その魅力にはまり移住を決められました。また3年前に勤めていた会社を辞めて移住してきた白石宗久さん(46歳・2015年取材当時)は「金銭面は正直厳しいですが、食に困ることはありません(笑)。地域の方に助けていただいて充実した生活を送っています」と話します。

 海士町は昭和50年代まで、みかん産業が盛んだったのですが、農家の高齢化や後継者不足により衰退しました。そこで、もう一度みかん産業を復活させようと海士町役場がプロジェクトを立ち上げ、この丹後さんと白石さんがこのプロジェクト要員に選ばれました。この2人、全く農業経験はありませんでしたが、役場が全面サポートしています。

 山内さんは話します。「仕事を辞めて来られる方は、給料はかつての半分以下でしょう。けれども、それを抜きにして本気で取り組んでくださっています。それを役場も本気でバックアップします。移住して来られる方は新しいステージを求めてきているんです。だからそのお手伝いをするのは行政です。昔からの島の人間からすると異質なものかもしれません。しかし、異質なものと地場の者が重なって化学反応が起きて新しい力になっていくんです」。島の総人口が増えた訳ではありませんが、労働力となる「活力人口」が増えたことで海士町にさらに活気が出てきたのです。

【メソッド3】総人口は増えないが( 活力 )人口が増えた

 最後にメソッド4です。

【メソッド4】島の未来の為に(???)にも新ルールを作る

 山内さんの話す「島の持続性」を保つには教育も重要な要素です。

高校も存続の危機に

 島唯一の高校である島根県立隠岐島前高等学校は、2008年度の入学者数が28人と、学校統廃合の危機に陥ります。これを救う手立てとして、島の外から生徒に来てもらう「島留学」が誕生しました。そこで学校と役場が協力し、国公立大学進学を視野に入れ希望実現を目指す「特別進学コース」と、体験型・課題解決型の学習を通じて地域の未来を切り開くための実践力を養う「地域創造コース」を設置します。

島の外の生徒に島留学を斡旋