それは……「カレー」。え? カレーですか?

 そう、カレーなんです。実は……、昔から海士町の皆さんはカレーの具が「肉」ではなく「サザエ」だったのです。なんとも贅沢な感じもありますが、海に囲まれた海士町では、肉よりもむしろサザエの方が手に入り易かったのです。

島の常識は都会では非常識!

 なんせ島の周りにいくらでも転がってるわけですから。島では当たり前のものが、島の外では非常識。そんなモノの方が「外貨獲得」にウケるのでは? と、海士町初のオリジナルブランド商品の開発に踏み込みます。

 その名も「“島じゃ常識”サザエカレー」。ナント!これが東京を中心に大ヒット!!! 1年間で3万食を売り上げました。

島の常識が都会で大ヒット

 見事に「外貨獲得成功」です!確かに“島じゃ常識”というフレーズは都会に住む我々の心を揺さぶる“何か”がありそうですよね!それでいて、単に奇をてらっているのではなく実際に美味しいわけですからヒットも頷けます。

 さらにこの「サザエカレー」に続けと目をつけたのが新鮮な魚介類。島の港には、真鯛や真鯵をはじめ、身がプリプリでサイズも大きい立派で新鮮な魚がゴロゴロと揚がってきます。

島で採れた真鯛

 しかし、これまではこの獲れたばかりの魚を本州まで運ぶ間に鮮度が落ちてしまい、安い値段での取引を余儀なくされていました。そこで海士町は2005年に5億円の費用を掛けて「CAS凍結センター」を作ります。この「CAS」というシステムは、磁場エネルギーで魚の細胞を振動させることで、細胞組織を壊すことなく凍結させることができるという特殊な装置。

 これで凍結させると、魚を解凍しても急速冷凍モノのように水っぽくはならず、長時間鮮度を保て、限りなく生に近い食感を味わうことが可能になるそうです。今では島の漁師さんたちが「漁師にとってCASは宝です」と口々に話すのは、この「CAS」によって安定した収入を得られるようになり、更には日本全国に新鮮な「海士町」の魚介類を届けることで、岩がきや白イカなどといった海士町の特産品をブランド化することに成功したからなのです。

CASを使えば解凍後にも限りなく生に近い触感を味わえる

 さらに2012年には今度は3億円をかけて「海士町海藻センター」を作りました。海士町役場地産地商課長の大江和彦さんは「海の資源である海藻を造成して魚介類が豊かに育つ環境を作っています。また希少な海藻の養殖も進めて世に広めていきます。さらには海藻から水素を取り出して燃料電池に変換しエネルギーをおこす海藻バイオ燃料を現在研究しています!」と満面の笑みです。

 ブランド化は魚介類だけにとどまりません。海士町のある隠岐諸島で昔から放牧されている隠岐固有の黒毛和牛である隠岐牛。これまでは輸送コストの問題で海士町の牛は生後8カ月で本土の牛肉産地に送られ松阪牛や神戸牛として市場に出ていましたが、本格的に隠岐牛のブランド化を目指し肥育を始めました。すると、海からの潮風でミネラルを多く含んだ牧草を食べて育つため美味しい肉質になる!と、東京の市場で松阪牛並みの高い評価を得ました。そして島に来た観光客にも隠岐牛を味わってもらおうと、飼育・生産・販売まで行う隠岐牛の専門店も出てきました。

 こうして島の名物を次々と島の外に売り出し、ブランド化に成功することで町長の言う「外貨」を獲得し、海士町自体のアピールにも成功しました。

 いやはや、給料をカットし身を削りながらも、掛けるところにはしっかりお金を掛けて将来を見据える。できるようでできないことなんでしょうね!

【メソッド2】島まるごと( ブランド )化