吉川社長は「大阪発の世界初です! 電動イスが、『あたりまえ』になるきっかけの製品です」と誇らしげにお話しされます。

 筆者は子どもの頃から理容室で何の疑問もなく電動イスに座っていました。理容師さんが、ペダルを踏むとイスが上下する感覚は不思議ではありましたが、日本で開発された機能とは考えたこともありませんでした。

 その後も、タカラベルモントは、デザインや機能で今までにない理容イスを次々と作っていきます。その開発力に押され、米国メーカーは徐々に市場から撤退し、タカラベルモントは、一時は米国シェアのほぼ100%を占めるまでに成長したのです。

 米国シェアのほぼ100%って聞いたことのない数字ですよね。

 いやいや、それにしても、日本製品が、そして大阪の会社が、技術力で世界シェアのほとんどを占めるとは、驚くと同時に本当に誇らしくあります!

【メソッド1】ニーズを読み取り( 世界初 )を生んだ

 次にメソッド2を見てみましょう。

【メソッド2】業界の繁栄につながる(???)の創造

 常に利用者のニーズを考えてきたタカラベルモント。

 その思いはシャンプー用の設備にも表れています。

 美容店の一般的なシャンプー台は、壁に設置してあり、美容師さんはお客さんの頭を小脇に抱えるように腰をひねって頭を洗うスタイルが一般的です。しかし、このシャンプー台は、あることで美容師を悩ませていました。

 開発本部・本部長の岡本宏司さんは「美容師さんの悩みは、十人に聞いたら十人が『腰痛』と答えると思います」と話します。なかには腰痛がひどくなって、仕事を止めざるを得ない、という人までいらっしゃるくらいだったそうです。

 人間の頭の重さは5kgもあるそうで、それを抱えながら腰をかがめて作業を続ければ腰には相当の負担がかかります。さらにお客さんからも、美容師との距離が近くてリラックスできない、との声もありました。

 たしかに、筆者も初めて美容室に行って仰向けになり、顔にヒラヒラとした紙を掛けられた時は、何とも言えず複雑な心境だったことを思い出します。

 そこで、タカラベルモントは従来のシャンプースタイルを一変し、真後ろからシャンプーできる台を、日本で初めて作りました。実際に美容師さんの使い心地を聞くと、腰がずいぶんと楽になり大好評とのこと。大きく売り上げを伸ばしました。

お客さんが前を向いたままで頭を洗うことができるシャンプー台を開発し大ヒットに

 さらに、前を向いての作業となるので、シャンプーをしながら他のスタッフや客の様子が確認できて作業効率が上がる、という思わぬ利点もありました。

 「私も開発する際は、そこまで気が付かなかったですが、新たな発見ができるのは、開発者冥利に尽きます」と笑顔で岡本さんは話します。

 他にも、今や当たり前となったあるサービスが、真後ろからのシャンプーで生まれました。それは何だと思いますか?

 後ろから洗うことで、頭皮へ左右均等にマッサージできるようになり「ヘッドスパ」という新たなメニューが生まれたのです。

 そう! このヘッドスパもタカラベルモントが発案したもの。これによって、今までサービスの一環だったシャンプーに「オプション」ができて、美容室で新たな収益を生むことになったのです。美容室は髪を切るだけの場所ではなくなりました。