【メソッド1】使いやすい商品で(???)をターゲットに

 ロゴスはもともと、1928年に柴田茂樹さんのおじい様でらっしゃる柴田實昭さんが、船舶商品の卸問屋として立ち上げた会社(ロゴスの前身である「大三商会」)で、海に関する様々な商品を取り扱っていました。

「水はあかん、丘にあがろう」

 しかし、柴田さんが入社した82年頃は、造船不況で会社は倒産寸前。そこで柴田さんは「水はもうあかん。丘に上がろうと!」と大きく舵を切ります。いや、柴田さん。今まで、「水」でお仕事をされてきた方が「丘」って! ホントに思いきった方向転換です。
 その当時、70年代から80年代は日本に本格的な登山ブームが訪れていました。柴田さんは「これからはもっと気軽にレジャーを楽しむ時代が来る!」と考え85年アウトドアブランド「ロゴス」を立ち上げます。

 まず柴田さんが目を向けたのが「テント」でした。

 

 当時、本格的なテントは安いものでも4万円以上。そこでロゴスは半額以下の1万9800円で発売します。柴田さんはこう語ります。「当時、旅行は1泊2食付きで5000円の国民宿舎(民宿)が主流だったんです。家族4人で合計2万円。ということは、これ以下にすると、民宿に泊まっていた家族がキャンプをしてくれるんやないか?と考えたんです」。ナルホド。柴田さん、なかなかの戦略家です。しかも、今までテントを使ったことがない初心者でも簡単に立てられるようにと、作りもシンプルにしました。結果、これがファミリー層に受け、ロゴスのテントは爆発的なヒットとなりました。
 次に柴田さんが目をつけたのが、当時、海外から輸入された「バーベキューグリル」です。
 欧米のバーベキューは大きなステーキ肉を焼くのが一般的だったため、「網の目の幅」が広い間隔だったんです。「するとね、今まで日本で焼いてた、焼肉の『てっちゃん』とか小さい肉がポロポロと、網目から落ちるんですわ」。
 あの~、関西圏以外の方、「てっちゃん」てお分かりになります? 焼き肉のホルモンの種類で、一般的には「シマチョウ」と言われる大阪では馴染み深い部位です。で、柴田さんは考えました。「『七輪で焼く焼き肉』はおもちを焼く時の碁盤の目のような『網』ですよね? それをアメリカンスタイルのグリルに装着したんです!」。

「てっちゃん」に対応したBBQのグリルが人気に
「てっちゃん」に対応したBBQのグリルが人気に

 86年、今では定番となった「細かい網目」の「バーベキューグリル」が発売され、こちらも大ヒットとなりロゴスはさらにファミリー層に支持されるようになりました。柴田さんの目の付け所も流石ですが、大阪の焼き肉文化がなければ、この開発はなかったかもしれません。大阪の食文化がアウトドア界の文化に影響を及ぼしていたとは! 聞いてみないと分からないものですね~。

【メソッド1】使いやすい商品で( ファミリー層 )をターゲットに

 続いて、メソッド2です。

【メソッド2】アウトドアへの(???)をつくるのが役目

 ロゴスは、その後も次々と初心者が使い易い商品を開発しました。
 そんなロゴスの専門店を覗いてみると、広々とした店内の目立つところに大きなテントを配置し、アウトドア初心者の方にサイズ感や居住性など、実際のテントを体感できるようにしています。しかもテントの前にグリルを置いたり、夜のキャンプの雰囲気を楽しめるスペースなど、店内をキャンプ場のような空間にして、より多くの方にアウトドアの楽しさを伝える店作りを目指しています。

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