【メソッド4】作り手と使い手が(???)を共有する場を設けた

 中尾さんは会社の工場も広く公開して工場見学を行っています。大企業の工場のように見学ラインがある訳ではなく、昔ながらの工場の作業スペースの隙間にお客様に入ってもらっての見学なのでやや窮屈なところもあります。しかし見学者にとっては、手ぬぐいを手作業で作っているところを直接見ることで、職人の手ぬぐいに対する思い、手ぬぐい作りにかける意気込みが「生」で伝わり、手ぬぐいに対する愛着がさらに沸いて来ます。

身内感でファンをひきつける

 筆者もそうですが、ものづくりの現場を見せていただいた商品は、勝手に自分の中で「身内感」が出て他社の商品よりそちらを手に取る「ファン」のような気持ちになりますよね。「作り手の顔が見える」といいますがそれは工場にとどまりません。中尾さんの「超変革」は、直営店にも及びます。

洗いと乾燥の前(左)と後(右)。違いをお客様に体感してもらう
洗いと乾燥の前(左)と後(右)。違いをお客様に体感してもらう

 「にじゆら」の店舗内で実際に注染技法での手ぬぐい作りをお客様に見ていただいて、中尾さん自らがその思いを伝えます。そして、お客様に、「注染工程の途中まで仕上げた生地」を持ち帰ってもらいます。というのも、最後の工程である「洗い」と「乾燥」をお客様自身にご自宅でやってもらうためなんです。
 そうやって「洗い」の前と後の色の違いを実感する事で、注染技法の素晴らしさを体感することができるんです。この一体感がさらに「にじゆら」手ぬぐいのファンを多くしているんでしょうね。
 「ものづくりの技法や技術に感動してくださる方がいらっしゃるんです。その値打ちを分かったうえでお買い求めいただけると、もっと『買ってよかった!』と感じていただけると思うんです」と中尾さん。
 お客様も「注染って初めて聞いた言葉だったんですが、今どきのデザインなんで日常に取り入れたいと思いました」と。にじゆらはまた、ファンを獲得しました。

【メソッド4】作り手と使い手が( 価値 )を共有する場を設けた

さて、ここでナカニの成功メソッドをまとめてみましょう。

【ナカニ『超変革』の成功メソッド】
【メソッド1】生産効率よりも( 職人育成 )が品質向上に繋がった
【メソッド2】( タブー )をオリジナリティーとして商品化
【メソッド3】様々な( 楽しみ方 )を提案し裾野を広げる
【メソッド4】作り手と使い手が( 価値 )を共有する場を設けた