「もっともっと手ぬぐいをいろんな方に手にとっていただきたいんです。今までになかったデザインや色合いと、注染技法の本当の良さをそこに生かして、新たなものとして皆さんに楽しんでいただきたいんです」
そして中尾さんは、大きな1歩を踏み出します。
カラフルな手ぬぐいに注目集まる
今までの「タブー」を前面に出し「にじみ」と「ゆらぎ」を組み合わせた「にじゆら」というブランドを立ち上げます。関西を中心に6店舗の直営店を展開し注染手ぬぐいの良さを伝えています。価格も1600~1900円とお手ごろで、お客様からも「いろいろな種類があるし、カラフルで楽しい!」「手ぬぐいって地味なデザインのものしかなかったから(笑)」と評判は上々です。

この「おとな会」の放送を通じて、多くの経営者の姿を拝見しています。とくに伝統ある商品を扱ってらっしゃる会社は「守らなければならないもの」と「時代に合わせ新しく創造していくもの」のバランスに必ず向き合っておられます。「代々、培ってきたものを自分の代で変えていいものか?」そんな中で、今までタブーとされてきた「にじみ」を前面に押し出すことは、相当の勇気と決断がなければできなかったことと想像します。そこには「注染技法」という伝統に絶対の自信があったからこそ「守りながら攻める」ことができたのかもしれません。筆者のような第三者が言うのは簡単なことですが、いざ決断されたパワーには心から敬服いたします。
【メソッド2】( タブー )をオリジナリティーとして商品化
そして、メソッド3です。
【メソッド3】様々な(???)を提案し裾野を広げる
中尾さんの「超変革」はとどまることを知りません。
「にじゆら」直営店に陳列されている商品には、思わず「おや?」とついつい手にとってしまうものが多くあります。
例えばネクタイのように結ばれた手ぬぐいにブーケのように形作られた手ぬぐい、さらには、四角に折られたカラフルな手ぬぐいに、棒の持ち手が刺してある、アイスキャンディーのように「美味しそうに、可愛く」デザインされた手ぬぐい。

そう、この「思わず手にとってしまう」ことこそ中尾さんの目指していることなんです。
手にとってもらうことで手ぬぐいの触感、肌触りの良さをまず分かってもらうことができます。これらは日本人の手ぬぐい作家さんのアイデアによるものですが、スイス人の作家さんがデザインしたものがさらに大ヒットしています。
それは1枚に1カ月のカレンダーが染められていて合計12枚つづりの1年のカレンダー手ぬぐい。ひと月が終わるとそれをちぎって切り離し、その1枚はもちろん手ぬぐいに使うもよし、ランチョンマットとして使うもよし。使い続けてくたびれたものは、さらに細かくちぎりひとつにまとめ最後には「はたき」として使えるなど全く無駄がありません。

「手ぬぐいは昔から、ぞうきんになるまで使える!といわれてますから」と手ぬぐい本来の良さを伝えていく姿勢はここでも変わりません。いやはや、確かにそのとおりで、愛着あって購入した手ぬぐいって、もったいなくて大事に扱いますが、大切に使いながらもその役割が終われば次々に用途を変えて、最後まで無駄にしないことが本当に「ものを大切にする」ということを教えてくれているんですね!
【メソッド3】様々な( 楽しみ方 )を提案し裾野を広げる
Powered by リゾーム?