上泉:お客様の喜ぶことを追求するということは、お客様のニーズに応えることですよね。メニューを絞り込むことはニーズに応えていないことですか?

大倉:お客様の要望を聞いていくと、八方美人のお店になるんです。どんなお客様にどんな商品を売りたいのか明確に信念をもち、聞くべき意見とスルーすべき意見を峻別することが大事です。これからは専門店が強くなると感じましたので、私は焼鳥に絞りました。

上泉:八方美人がプラスになるとは限らない! 意外です。

最大のサービスは全品を280円で売り続けること

大倉:我々がお客様に対して提供できる一番のサービスは、今のメニューを280円で売り続けることだと定義づけています。だから、280円で売り続けられないような過剰な接客サービスも必要ないと考えています。

 飲食業界はどうしてもトレンドに流されやすい風潮があり、接客や内装で個性を出して付加価値を出そうと考えるんです。しかし、個性が強すぎると飽きられます。私はできるだけ個性を排除して、焼鳥というベーシックな部分をより高め、磨いていこうと考えています。

上泉:お伺いしにくいんですが、鳥貴族をまねしたかのような店も出てきてますよね。気になりませんか?

大倉:いや~、そういったお店は、一切見に行きません。行くと、270円均一のお店ができたら、うちは265円にしようなどと対抗策を考えてしまう。気になってしょうがなくなってしまう。あくまでも鳥貴族のお客様にどう喜んでいただけるかだけを見ていった方が、独自の店づくりができるなと思っています。

上泉:同じようなお店が増えて、淘汰されてしまうのでは、という危機感はないのでしょうか?

大倉:もちろん、類似店が出てきたら影響は受けます。でも、私たちほど、焼鳥1本だけに懸けている会社はないという自信がありますから。今、たまたま鳥貴族が流行っているからまねしようとしても、そこには魂はないでしょう。それに、まねされても諦めず、焼鳥でお客様に喜んでもらえることを追求していくだけです。

上泉:国内はあとどれだけ出店できるとお考えですか?

大倉:マーケティング会社にも調査してもらい、2000店舗を目標にしています。これまで日本において単一業態で2000店舗展開した居酒屋はありません。

上泉:えー、2000店ですか。そんなチェーン店は全然想像もつきません。そこまでたくさん店舗を展開されるのは、なぜなのでしょうか?

大倉:それはよく聞かれるのですが、一人でも多くのお客様に食べていただきたいからです。私利私欲のためでは続きません。ただ儲けだけを追うのであれば、10店舗くらい展開している方が効率はいいんですよ。

上泉:今回は、鳥貴族の本社にお邪魔しました。大阪の中心地からは離れていますし、正直申し上げて、かなり質素で驚きました。

大倉:この本社が自慢です。変にきらびやかな社屋をつくった方が不安になりますね。永続させるためには無駄な金は使わない。そういった企業文化、社風にしたいと思っています。

(この記事は書籍『儲かりまっか? の経営道』を再編集しました。構成:尾越まり恵、編集:日経トップリーダー、上泉アナウンサーが司会を務めるテレビ番組「~オトナ度ちょい増しTV~おとな会」についてはこちらをご覧ください)

この連載が本になりました!

 5月28日、大阪の梅田、なんば、新大阪界隈にナゾのオレンジ色のTシャツを着た集団が現れました。この連載を大幅に加筆・再編集した『儲かりまっか? の経営道』の発売キャンペーンで、MBS「~オトナ度ちょい増しTV~おとな会」の撮影スタッフらが、書店をあいさつ回りする上泉アナウンサーを追いかけたのです。

 このオレンジ色のTシャツを侮ることなかれ! なんとMBSの局内でたまたまエレベーターに乗り合わせた関西風のお名前の世界的スーパーデザイナー(あえて匿名です)から、女性スタッフが「素敵なTシャツ着ているね~」とお声掛けいただいたほど。

 その甲斐あってか(?)関西地区を中心にこの本への注目度も急上昇しました。今回、登場の鳥貴族、大倉忠司社長のほか、がんこフードサービスの小嶋淳司会長、千房の中井政嗣社長など関西を代表する経営者へのインタビューも盛り込んでいます。

 詳しくはこちらをご覧ください。