【メソッド2】弱点と正面から向き合い(???)をつくった

 もちろん女性に特化するだけではありません。2006年にはキャンパス内に日本語一切禁止のカフェスペース「英語村E3【e-cube】」を作ります。

 
外国人スタッフと気軽におしゃべりができる英語村。夏休みや春休みには一般にも開放される。しかも基本的にタダです!
外国人スタッフと気軽におしゃべりができる英語村。夏休みや春休みには一般にも開放される。しかも基本的にタダです!
   

 18m四方、高さ10mの広々とした空間にはテーブルが数多く設置されていて、それぞれのテーブルで外国人のスタッフがカードゲーム、雑誌などを通じてのおしゃべりを楽しみながら気軽に英語を学習できる施設となっています。もちろんカフェとしても利用でき昼休みにランチをしながら英語を学習している学生も多くいるのです。
 この英語村、1日約700人が利用し、皆さんとても楽しそうです。

タダで英語が練習できるなんて

 

 近大の弱点の1つに「国際化」があり、この分野では他の大学に遅れをとっていました。英語村・村長の北爪佐知子さんは「外国人が『何となく』苦手! というのをなくして『何となく』来たくなる施設を目指しているんです」と話します。実際、ここに通うことでTOEICの点数が200点以上アップした学生も大勢いらっしゃるとのこと。
 この取り組みも大成功を収めています。しかも、この英語村は、大学が休みの夏休みと春休みには、学生以外の一般の方にも無料で解放され、地域のコミュニティーにも大いに貢献しています。英会話スクールに通うとなると、安くない額のお金がかかりますよね?それが、「無料」! 大阪人は「タダ!」が好きです。地域の方もますます近大に愛着を持ってくれています。

【メソッド2】弱点と正面から向き合い( 英語村 )をつくった

 続いてのメソッドは何でしょう?

【メソッド3】創立以来の精神「(???)力」で「近大マグロ」が誕生

 「近大」が学生以外の皆さんに大きく貢献した…といえば、大阪の商業施設・グランフロント大阪にある養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」も忘れてはいけません。世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した「近大マグロ」の専門店で、オープンから3年経った今でも行列が途絶えないお店です。「近大マグロ」は一躍「近大」の名を世に知らしめ、数多くのお客様から「脂ののりがいい」「天然に比べて遜色ないよ」「むしろこっちのほうが美味しい」と大絶賛の声が店内に飛び交っています。

マグロに宿った基本精神

 筆者も食べたことがありますが、本当に美味しく、時に関西のスーパーでは「近大マグロ解体ショー」と銘打ってお客様を呼び込む光景なども目にします。もはや「近大マグロ」は、マグロの一大ブランドとなりました。

「近大マグロ」は近大を一躍有名にした
「近大マグロ」は近大を一躍有名にした

 「実はこの『近大マグロ』こそ近大の基本精神が宿っているんです!」と世耕さん。「クロマグロの完全養殖というのは『実学教育』と密接につながっているんです」。
 では「実学教育」とは何なのでしょうか?
「実際の社会で役に立って教育研究の成果を生かして収益を上げることを『実学教育』といいます」

 1948年、創設者の世耕弘一氏は和歌山県白浜町に「近畿大学水産研究所」を開設しマダイやブリ、ヒラメ、クエなど10種類以上の魚の養殖に成功しました。しかも、これを市場に出して利益を上げていたんです。
 それから半世紀以上が経った2002年、不可能と言われたクロマグロの完全養殖を世界で初めて成功させました。これを社会に生かそうと日本で初めて大学の飲食店経営に踏み切り、お客様からも「さすが近大!」との声を掛けられるなど近大の象徴となりました。

これぞ近大マグロ
これぞ近大マグロ

 世耕石弘さんは、創設者世耕弘一さんの言葉を反すうしてこう語ります。
 「神聖な学問を金儲けに結び付けるなど学問への冒涜ではないか?という意見もいただきました。しかし、『私立大学は自らの足で立っていかなければならない』んです」。その語いは力強く、そこには「実学」で社会の役に立つという建学の理念がしっかりあるからこその自信がうかがえます。

【メソッド3】創立以来の精神「( 実学 )力」で「近大マグロ」が誕生

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