【メソッド4】土鍋の力を体感できる(???)を開催

 そして、まだまだ「土鍋愛」は続きます。
 せっかく買ってもらったお客様には、土鍋をさらにおいしく使ってもらうためにホームページに土鍋を使った料理のレシピを公開。しかも、毎週更新しています。そしてまだ使ったことはないけれど、興味はお持ちの方のために、東京・恵比寿にある「長谷園 イガモノ東京店」で土鍋の魅力を体感できる「土鍋の料理教室」を開催しているんです。

土鍋愛で燻製からプリンまで

 ここでは食材を火にかけるだけで様々な料理ができることを体験してもらおうと、「春キャベツのジャコごはん」から「ソーセージとうずらの燻製」はたまた「土鍋プリン」に「イチゴのバルサミコソース」と、おかずからデザートにいたるまでレシピもバリエーションも豊富に取り揃えお客様を惹きつけています。

これは斬新、土鍋プリン
これは斬新、土鍋プリン

 実際、お店を訪れたお客様からは「こんなに簡単においしく作れるとは!」と笑顔がこぼれ、着実にファンを増やし続けており、いまやこの料理教室はなかなか予約の取れない話題のレッスンとなりました。
 ここを切り盛りするのは長女の章代さん(44)と、次女であり店長の伊佐子さん(40)のお2人。

姉の章代さん(左)と妹の伊佐子さんが二人三脚で活躍中
姉の章代さん(左)と妹の伊佐子さんが二人三脚で活躍中

 章代さんは「ご来店のお客様の声を工場に届けてデザインの希望などを伝えています」と言います。また伊佐子さんは「釜屋の想いをお客様に伝えることを心がけています。『おいしいですよ!』と、いくら言うよりも、実際に土鍋の遠赤外線の効果で暖かさや美味しさを体感いただければ、何もしなくても土鍋の良さは伝わりますね」と微笑みます。一家総出で、お客様と窯元との架け橋となって「土鍋愛」を伝えて続けているのです。

 

【メソッド4】土鍋の力を体感できる( 料理教室 )を開催

 さて、ここで長谷園の成功メソッドをまとめてみましょう。

【長谷園『かまどさん』の成功メソッド】
【メソッド1】(実用性)と(利便性)を両立した土鍋を開発
【メソッド2】様々な料理に役立ち(食卓)を飾る土鍋を考案
【メソッド3】業界初の(パーツ)販売で安心を売る
【メソッド4】土鍋の力を体感できる(料理教室)を開催

 そうなんです。このような常識をひっくり返す挑戦の数々こそが長谷園の成功を牽引してきたのです。

 毎回番組では、取材の最後に、経営者に企業理念や経営哲学を端的に語ってもらい、「おとなフィロソフィ」と名づけて紹介しています。会社の危機から見事な起死回生を遂げた八代目・長谷康弘さんにその哲学「おとなフィロソフィ」を伺いました。

 「食事は、ただお腹が張ったらええんやなく、おいしく楽しくなってこそやと思うんです。すべての土鍋が台所で活躍するだけでなく、食卓に持ってきて土鍋を囲むことが日本の食文化において大切なことだと思うんです。私たちの土鍋がその役に立ってくれればええなぁ! と思います」

 阪神大震災というピンチをチャンスに変えて倒産の危機を乗り越えた伊賀焼きの老舗・長谷園。その「土鍋の良さを知ってもらいたい!」という信念に裏打ちされた努力や開発やサービスは、失敗を繰り返しながらも雨だれのようにコツコツと積み上げられ、倒産の危機という巨大な石をも穿ちました。

 読者の皆さまも自社の商品に対する愛は同じだと思います。もちろん、筆者自身、この番組「おとな会」に対する愛は人一倍あるつもりです。ただ、それが、本当にお客様の気持ちになって作っているのかを、康弘さんはじめとする長谷園の土鍋作りの姿勢を拝見し自問自答しております。
 「独りよがりの愛になっていないか?」「押し付けになっていないか?」
 むしろ本当にいいものであるという自信があるからこそ、商品の良さに酔いしれず、お客様の声に耳を傾けながら常に伝統を守りつつも新しいチャレンジができるのではないでしょうか。
 この放送からますます「おとな会愛」を強く持ち、視聴者の皆さまへの思いをさらに強めた筆者でした。

 (今回の記事は「~オトナ度ちょい増しTV~おとな会」2015年5月27日放送分を元に構成しました)

靴下専門店の全国チェーン「靴下屋」を一代で築いたタビオ創業者、越智直正氏の人生訓。15歳の時に大阪で丁稚奉公を始めてから60年、国産靴下に懸ける尋常ならざる熱情を語り、経営の王道を説く。『靴下バカ一代』は好評販売中です。詳しくはこちらから。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。