【メソッド2】様々な料理に役立ち(???)を飾る土鍋を考案

 しかし、康弘さんはこの「かまどさん」の完成に甘んじることなくさらなる開発に力を注ぎます。
 「ご年配の方は、『危ないから火を使うな!』とお子さんから言われるそうなんです」
 そこで年配の方が火を使うことなく安心して使える土鍋、そう!「電子レンジ専用土鍋」の開発に乗り出しました。果たして、電子レンジを使って土鍋でご飯を炊く? そんなことができるんでしょうか? できるんです! 開発にかかった歳月はなんと6年。 最初の「かまどさん」の開発期間の4年よりも長い6年かかりました。しかし、見事に完成させたのです。
 2合なら500Wで15分「チン」するだけで美味しくご飯が炊けるというから驚きです。いや~本当に大変だったでしょうね?
 「電子レンジは今の生活に欠かせません。何とかできないか? その思いだけです」
 なんという「土鍋愛」でしょうか。康弘さんの思いは、とにかく土鍋の良さを世に伝えたい! その一言に尽きるように感じます。そして、その思いは「ご飯」だけに留まりません。康弘さんは、IH対応の土鍋はもちろん、スモーク用土鍋「いぶしぎん」、鉄板焼き用土鍋「やきやきさん」、焼き蒸し炒め用土鍋「ふっくらさん」と次々に様々な料理に対応した土鍋を開発し、いずれもヒットさせていったのです。

 

【メソッド2】様々な料理に役立ち( 食卓 )を飾る土鍋を考案

【メソッド3】業界初の(???)販売で安心を売る

 そんな土鍋にも課題があります。それは土鍋の特徴である「壊れやすいこと」です。「一番多い問い合わせが、上蓋だけ割ってしまった。あるいは、中蓋だけ割ってしまったというご連絡なんですわ」
 せっかく喜んで使ってもらっていたのに、蓋が割れてしまっては使うことができません。
 ところが、従来の土鍋は、パーツのひとつでも破損したら全て買い換えないといけないのが常識でした。
 しかし、またそれでせっかくのお客様が土鍋から離れてしまう……。

業界初の販売方法で割増料金なし

 そこで、康弘さんは、業界初の「パーツ販売」に踏み切りました。
 「かまどさん」3合用は価格1万円。パーツの価格は、鍋本体だけなら4000円、中蓋3000円、上蓋3000円。
 そうなんです。パーツ料金は割り増しが一切ありません。
 「パーツの割増料金で儲ける必要はありません。長谷園で買ったら、パーツ販売あるし安心できるなぁ、とお客様がおっしゃってくれるようになったのがありがたいです」
 企業としては新しく一式買い換えてくれた方が儲かるはず。でも、そうすることなく、「お客様にいつまでも土鍋を使い続けてもらおう!」という姿勢が、この「パーツ料金割り増しなし」という値段に熱いメッセージとして伝わっているんですね。
 長谷園の「土鍋愛」はさらにさらに進みます。
 商品を梱包する際に行う最終工程は何だと思いますか? 土鍋は焼く前、同じサイズで作ったものでも、炎のあたり方でどうしても収縮具合が微妙に変わってしまいます。蓋と本体の間に少しでも隙間ができるとせっかくの「圧」が逃げて、美味しく炊くことができなくなってしまいます。そこで梱包する前の最終工程では、蓋と本体が隙間なくぴったり合う組み合わせのものを探して梱包するんです! しかも、手作業でひとつひとつ!
 「従業員は合わないのが続くと苦労してますよ!」とこれまた笑顔で話す康弘さん。
 さて、先ほどの「パーツ販売」のときはどうしているんでしょうか?
 「パーツ販売の時は、鍋の直径を計って注文してもらうんです。同じ三合土鍋でも微妙にサイズが変わってきますから」
 お客様も電話口でなぜ直径を計らなければならないのか疑問に思うそうですが、理由をご説明すると納得され、さらに丁寧な対応に喜んでいただけているそうです。
 品質管理を担当する次男の啓史さん(42)も「お客様のためにもいいものを作っていかないとだめですから」と、優しい表情の中に厳しい目で商品のチェックに余念がありません。

【メソッド3】業界初の( パーツ )販売で安心を売る

次ページ 土鍋愛で燻製からプリンまで