ここが作った「かまどさん」という土鍋は、16年前の発売開始から65万台以上を売り上げている大ヒット商品。

倒産の危機を救ってくれた「かまどさん」

 しかも、この「かまどさん」は倒産の危機を救った救世主でもあります。
 もちろん「かまどさん」開発までの道のりは決して楽な道のりではありませんでした。しかし、長谷園の皆さんが一丸となって「お客様に土鍋の良さを知ってもらいたい!」という信念が「かまどさん」を大ヒット商品にしたんです。

倒産の危機を救った土鍋「かまどさん」
倒産の危機を救った土鍋「かまどさん」

 では、その「成功のメソッド」をひも解いていきましょう。

【長谷園『かまどさん』の成功メソッド】
【メソッド1】(???)と(???)を両立した土鍋を開発
【メソッド2】様々な料理に役立ち(???)を飾る土鍋を考案
【メソッド3】業界初の(???)販売で安心を売る
【メソッド4】土鍋の力を体感できる(???)を開催

 では、そのメソッドを順にひも解いてまいりましょう。

【メソッド1】(???)と(???)を両立した土鍋を開発

 伊賀市は奈良時代に誕生し、平安末期から鎌倉にかけて「焼き物の産地」として発展してきた街です。その伊賀市で1832年に創業した長谷園は、伊賀焼きの伝統を継承しながら時代に沿った陶器を作ってきました。中でも伊賀焼きのタイルは東京ドームの陶壁画や八景島シーパラダイスのレリーフなどビルの外観に使われており、一時は商品の7割がタイルで、土鍋はたった3割というほどでした。
 ところが、1995年阪神淡路大震災が発生。これによって「タイルは重くて地震に弱い」という風評を受け、タイルのキャンセルが続出し倒産の危機に陥ります。
 7代目の長谷優磁さん(76)は「もうこれで終わったと思いましたよ。ただ商売人ならスパっとそこで止められたけど、小さいころから陶器屋に生まれたんでなぁ……」と当時を振り返ります。

7代目の長谷優磁さん。阪神淡路大震災でピンチに
7代目の長谷優磁さん。阪神淡路大震災でピンチに

 太古の昔、琵琶湖の湖底だった伊賀。その土は微生物の死骸を多く含み、土鍋を作ると多くの気孔ができます。
 「じんわり熱を蓄えて、一杯になったら遠赤外線を含んだ輻射熱がいっぺんに中に入ってくる。気孔があるから一旦温まった熱は、なかなか逃げないんや」と身振り手振りを交えながら熱く土鍋の魅力を語る優磁さん。
 商人としてでなく、陶器職人として培ってきた誇り……。その誇りが、長谷園の運命を3割だった「土鍋」に託させ、後に「誰もが簡単に使えて美味しくご飯が炊ける土鍋」の開発を推し進めて行くことになるのです。

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