塗り箸の全国シェア80%を誇る小浜で、企画・製造・販売を一貫して行っている唯一の企業でもあります。この兵左衛門、アメリカのオバマ大統領が就任した際には、日本政府から依頼を受け、若狭塗りの箸を大統領の家族にプレゼント。また、天皇皇后両陛下が福井市を訪れた際にも箸を提供するなど、日本を代表する箸作りの会社なんです。

「箸文化が、日本が消えてしまうのでは」と懸念する浦谷会長
「箸文化が、日本が消えてしまうのでは」と懸念する浦谷会長

 その兵左衛門の浦谷兵剛会長は「たかが箸、されど箸なんです。大それたことかもしれませんが、自分がやらないと箸文化が、もっと言えば、日本が消えてしまうんじゃないかと思うんです」と言います。なるほど、かなり熱いメッセージです!

 では、その兵左衛門のおとなメソッドをひも解いていきましょう。

【兵左衛門の「日本人の心に響く」メソッド】
【メソッド1】箸は(???)です 100%天然漆を使用
【メソッド2】箸を(???)することで使う人に愛着を
【メソッド3】(???)で箸文化の魅力を伝える
【メソッド4】(???)を箸にリサイクル

 まず、メソッド1を見てみましょう。

【メソッド1】箸は(???)です 100%天然漆を使用

 朝8時、兵左衛門の朝は社員全員揃ってのラジオ体操から始まります。
 そしてラジオ体操が終わると、社内の掃除。しかも、ただの掃除ではなく毎朝30分間それぞれの持ち場を徹底して綺麗にします。30分とはかなりしっかり掃除されますね~。浦谷会長は「『形から入って心に至る』です。単なる掃除ではなく、日々の環境を整備して、隅々まで機械を磨きこむんです。そうすることで、愛着が沸いてきて、細かいことまで気づく様になります。すると、お客様がお困りのことも分かるようになるんです」とおっしゃいます。

いいものを作るためにまず掃除から

 いや~、耳の痛いお話です。確かにデスクの周りが散らかっているときって、なんだか仕事に集中できませんよね。また一流のプレイヤーほど道具を大切にして、しっかり自身の手で手入れされています。こういったところから、兵左衛門の箸作りはすでに始まっているんですね。

毎朝30分間の掃除からスタート
毎朝30分間の掃除からスタート

 では、その工程。
 まずは塊の木を板状に切っていきます。ただし、ただ切るのではなく、後に箸の形にしやすいように角度をつけて切ります。そうして板状にしたものを先が細くなるようにさらに切っていきます。そうして、細くなるまで切っただけで、まだ凸凹のある板に、機械でヤスリをあて丸みをつけると箸の成形は完成します。そしてここから、兵左衛門が何よりもこだわっている工程へ移ります。
 兵左衛門が最も大切にしているのが「お箸は食べ物」ということです。
 浦谷会長は「漆100%でやっていますから、たとえ体内に入っても安全なんです。次世代の子どもたちには、この安全なものを使って欲しいんです」
 塗り箸とは、基本的には漆塗りの箸のことを言うのですが、兵左衛門では口にする部分は全て体内に入っても安全とされる100%の天然漆を使用しています。当たり前のことでは? と思うかもしれませんが、実際にこれを徹底して行っている会社は少ないそうです。漆に他の合成塗料を混ぜて作られたり、最後の仕上げ一回だけ漆を塗ったりする箸が多く、箸先を紙にこすると色鉛筆のように字が書けてしまう箸は100%の漆を使っていない証拠だそうです。兵左衛門では、口に入る箸先は食べ物と同じと考え、100%の天然漆にこだわっているのです。
 箸の値段は、この漆を塗りこむ量と回数によって変わり、兵左衛門では生漆だけでも10数回は塗りこみます。その分、兵左衛門が提供する箸は安くて1500円からと、100円均一のお店でも買えることを思えば少し高い値段設定かもしれませんが、使う方の安心と安全を第一に作っているのです。

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