実は筆者、この放送が終わった後、どうしてもその星空を見たくなり、実際に阿智村に行って、この目でその星空を見てきました。……確かにこれまでにない体験でした。
「星が降ってくる」
この言葉はこの星空のためにあったかのようです。まして、天の川を肉眼で見られるなんて思いもよりませんでした。満天の星空のもと、シートに寝転がり星空を眺めていると、星空に包まれているような感覚になって「ちっぽけな自分も宇宙の中で生かされているんだなぁ」など、普段考えもしないようなことが頭に浮かび、いつまでも眺めていられます。なんだか、心身ともにリフレッシュされて、本当に素敵な体験となりました。帰りのゴンドラを並んでいると、後ろにいたご家族が「ホントに来てよかったよね!この感動を誰かに伝えたいよね!」とずっと興奮しながら話しておられました。松下さんの「感動は誰かに伝えたくなる」という言葉はその通りでした。
阿智村の方にとって当たり前だった星空は「日本一星空がキレイに星が観測できる場所」として環境省からも認定されるほどでした。その訳は、周囲を山に囲まれ、都市部の光が届かないことでした。弱みとも思えた「日本一夜が暗い村」を「日本一の星空」という強みに変えて観光客の増加につなげました。
【メソッド1】当たり前だった星空を( 観光資源 )にした
次はメソッド2を見てみましょう。
【メソッド2】星空ビジネスで新たな(???)を生んだ
「星空ナイトツアー」の人気の理由の1つが「星空ガイド」です。確かに、おそろいのユニフォームに身を包んだガイドの皆さんの解説はシンプルでとても分かりやすく、また勉強になります。
「今でこそ10人のガイドがいますが、全員『星』関係の仕事とは無関係の、普通の村の住人なんです。新しい事業を始めたことで、村に雇用が生まれました」と松下さん。え、皆さんあまりにもお詳しいので、てっきり専門家の方かと思っていました。

しかし、開業時は大変だったのではないでしょうか?
当時をよく知る、現在は星空ガイド教育担当者である谷澤信さんは「ハッキリ言って大変でした(笑)」。そうでしょうね!「相当本を読み込んで勉強して本番に臨みましたが、実際、勉強した以上の星があって、どれがどの星か分からなくなってしまったんです。ですから『綺麗ですね』しか言えず、初日は惨敗でした」。
ガイドもボランティアという手作り感
そんな苦い失敗をきっかけに、ガイドの皆さんは、ツアーの後、今でも毎晩反省会を欠かしません。自然を相手の解説ですから、毎日、気温や環境も変わります。しかし、ガイドにマニュアルはなく、星の知識も自分たちで本を買って勉強して、解説用の原稿も自ら作っているそうです。自分たちの体験がそのままガイドのコメントとして活きています。いやいや、実際聞いてみると、とても素人さんとは思えない解説でしたよ。
中には、星で人生が変わったというガイドさんもいらっしゃいます。ガイド2年目の寺崎沙織さんは、観光で訪れた阿智村の星を見て、そのあまりの美しさに、ここに住むことを決めてガイドになりました。
星空ビジネスの新規雇用で村の人口の増加にも繋がっていたんです。
【メソッド2】星空ビジネスで新たな( 雇用 )を生んだ
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