「確かに、普通なら選ばない方法だと思いますが、大阪市内は古い工場や倉庫が眠っているので、それらが賃貸に出ていたんです」

 なんと、今でも市内にたくさん残っている古い工場の空き物件を借りて、ワイナリーにしようと考えたのです。確かに、初期投資は抑えられます。
「どこのワイナリーでも、ぶどう畑のそばにあるのが普通です。でも、ぶどう畑とワイナリーが近くにあると便利なのは、収穫の時だけなんです。それも、年に10日ほどですし、海外では1時間くらいかけて収穫したぶどうを運ぶことも普通ですから」と話す藤丸さん。

 こうして、畑から車で40分。大阪の中心地に古い空き倉庫を見つけ日本で初めてのアーバンワイナリーを創業しました。

 さらに、ワイナリーに必要なぶどうを搾るプレス機。これも、普通ならイタリアなど海外からの輸入品を使うそうですが、藤丸さんは、大阪が誇る「ものづくりのまち」八尾の鉄工所に特注しました。同じものを輸入すると700万~800万円するそうですが、なんと約3分の1の値段でできたそうです。大阪の誇る町工場の技術が、ここでも活かされたなんて嬉しい限りです。

 結局、最低でも3000万円かかると言われたワイナリーを、藤丸さんは、なんと700万円で手に入れました。

 その切り詰めた予算で、藤丸さんはワイナリーと共に、どうしてもつくりたかったものを実現させます。それは、ワインを醸造している様子も見える併設のレストランでした。
「ワイナリーというと閉ざされたイメージもありますが、私たちは開かれたワイナリーにしたいんです。いつでも来てもらえて、もっと身近な存在に感じてほしいんです」

 松屋町駅から徒歩1分。街中にあるので、会社帰りにもフラッと立ち寄れますから、このワイナリーは本当に身近に感じられますよね。

【メソッド1】ワインを身近に!( 日本初 )の都市型ワイナリー

 次はメソッド2です。

【メソッド2】(???)をやめることで(???)が増えた

 ワインの消費を伸ばすためには美味しいだけでなく「気軽に買える値段設定」が大事です。フジマル醸造所で造るワインは極力値段を抑えています。そこには藤丸さんの「ワインの消費量を2倍にしたい」という思いがありました。

 特に人気なのが、大阪・柏原産のデラウエア100%で造った白ワイン。とってもジューシーで、ぶどう産地「大阪」を感じられる味わいです。また、同じデラウエアでも皮ごと漬け込んだ、濃いオレンジ色が特徴のワインなど様々な種類のワインが楽しめますが、お値段はグラスで750円。

 さらに、追求したのが、ビールのようにワンコインで飲める手軽なワイン。この値段のカベを超えない限り、ワインが広まることはないと、藤丸さんは考えました。「お店でグラス400~500円の『ワンコインで飲めるワイン』にするには、何をカットすればできるかを考えたんです。ぶどうの品質はもちろん落とせません。後は、瓶・栓・ラベルなどすべてをカットしないと無理な値段ですが、ワイナリーでワインを出すのであれば本当に瓶詰めにする必要があるか? を考えました」

 なるほど! そもそもワインを瓶詰めするのは、遠くに運ぶため。しかし、すぐ上の併設レストランで飲んでもらうなら、その必要がありません。

 そこで、またまた八尾の鉄工所で 小さなステンレスの樽を特注し、樽から直接注いだフレッシュなワインを格安で提供することを考えたのです。「生樽白ワイン」が500円なり、ワンコインワインの誕生です!

樽から直接注げばフレッシュなワインを安く提供できる