では、ここで「リビングハウス」のメソッドをまとめてみましょう。
【メソッド1】オシャレな( スリッパ )で顧客を獲得
【メソッド2】業界初の( 分割払い )で買い替え促進
【メソッド3】( 奇抜なブランド )でインテリアの価値観を向上
毎回番組では、取材の最後に、「おとなフィロソフィ」と名づけて、経営者やリーダーに企業理念や経営哲学を端的に語ってもらっています。
停滞していた家具インテリア業界の中で独自の戦略を駆使して売り上げを向上させてきたリビングハウス。家具インテリアに対する日本人の考え方をも変えたいという北村さんのおとなフィロソフィとは?
「人間の生活の基礎要素は家の中が中心です。そこでのリビングが快適であれば家族で過ごす時間が増えてます。インテリアの文化が上がれば、もっと家族の団欒に繋がると思います」

業界全体に逆風が吹く中で社長に就任した北村さん。そこで目にしたのは、普通のご家庭の姿でした。この方たちに、家具の良さを知っていただくために、様々な知恵を絞り、今までになかった発想でお店に入りやすい環境を作りました。
常に現場でお客様の声に耳を傾けるからこそ、海外の独創的なブランドとの独占契約にもつながります。北村社長の取り組みを拝見し、改めて、お客様の声を聞き、そして、しっかり知恵を出せば、どのような環境でも解決の糸口は必ずある、と勇気を頂戴した筆者でした。
(この記事は「~オトナ度ちょい増しTV~おとな会」2017年8月30日分の放送を元に構成しました。文中の数値・肩書などは放送時のものです。編集:日経BP総研 中小企業経営研究所)
ここ40年で、家具の業界は、消費者のライフスタイルの変化によって需要が大きく減ってしまいました。かつては、女性が「婚礼家具」として一式をそろえることが一般的でした。そうして一戸建てに住んで、夫婦と子ども2人が生活するという標準的な家庭では、子供の成長に合わせてベッドや勉強机などを購入しました。
しかし、今では家族の姿も変わり、単身者が増え、マンションや賃貸アパートに暮らす人の割合が高まっています。必要な家具を少しずつ買ってくれるならまだしも、プラスチック製の収納ケースを衣類の保管に活用する家庭も増えています。若年層の平均所得が伸び悩む中、10万円、20万円といった家具は、いつしか生活必需品から外れてしまったのかもしれません。
強い逆風の中で、リビングハウスが選んだ道は、入り口を変えること。スリッパやアート作品という手ごろな価格の商品を並べました。さらにスマートフォンを見習って、分割払いもスタート。こうして敷居を下げることで、顧客を再度つかむことができたのです。
例えば、都市部では運転免許を取得しない若者が増えています。そのため、教習所だけでなく国内の自動車販売全体が縮んでいます。ライフスタイルの変化は、その業界に大きな影響を及ぼします。経営者は時に一段高いところから、自社の行方を見ることが必要になります。縮小する市場で懸命に戦うよりは、伸びる市場に自社のリソースを活かして打って出る。そんな大胆な戦略の切り替えも必要になります。
日経BP総研 中小企業経営研究所ではこうした中堅・中小企業の悩みにも、解決に向けて応援します。くわしくはこちらをご覧ください。
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