【メソッド3】(???)でインテリアの価値観を向上

 家具・インテリア業界に新たな革命を起こしたいと考える北村さんは、ヨーロッパ家具専門店「リビングハウス サローネ」を作りました。

 「ヨーロッパのブランドだけを取り扱った専門店です。イタリア・ドイツという2カ国は特にインテリアの分野で進歩的です。この2つの国の家具を中心に集めています」と話す北村さん。

家具のワンダーランドを生み出したい

 このビルの特徴は、1階はポップでカラフルな色合いのインテリア、2階は打って変わってシックな色使いで重厚感のあるインテリアが揃うフロアと、それぞれが差異化されています。そして注目は3階。何と表現したらいいでしょうか? ワンダーランドに飛び込んだというか、一見すると普段使いの家のインテリアには向かないような感じさえする斬新なデザインのものばかりがラインアップされています。

 「ドイツの『KARE(カレ)』というインテリアブランドです。1点、2点を差し込んで使うと、お部屋がグッと華やかになってリビングが楽しめますよ!」と話す北村さん。

 確かに、どれもこれも斬新なデザインですが、惹きつけて離さない魅力のある商品がラインナップされています。3年前、パリの展示会で初めてKAREに出あったという北村さんは、その奇抜さに大きな衝撃を受けたそうです。しかし、あまりにも奇抜すぎるデザインだったので日本人には受け入れがたいだろうと思い、実験的に少しだけ仕入れてみることにしました。ところが、仕入れたらすぐに商品はどんどん売れていったそうです。

世界で250店舗以上展開しているドイツの有名ブランド「KARE」
世界で250店舗以上展開しているドイツの有名ブランド「KARE」

 実はKAREは世界で250店舗以上展開しているという有名ブランド。

 しかし、日本ではほとんど知られておらず、またその前衛的すぎるデザインから日本で販売しようという会社もありませんでした。そこで北村さんは直接交渉し、日本での独占販売権を得ることに成功します。

 2016年9月、大阪梅田のファッションビル「NU茶屋町」に、北村さんはKAREの旗艦店となる巨大店舗をオープンし、ファッションセンスが高い人たちが集まる街で思い切って勝負をかけました。このNU茶屋町は、筆者の会社の近くにあり、通勤の行き帰りに前を通っているのですが、正直、ロゴ見て何のお店か知りませんでした。恥ずかしい限りです。

 ちなみに、この日、テレビ番組の収録が終わり、ゲスト・おのののかさんは、さっそく茶屋町の「KARE」に行ったそうです。その気持ち分かります。筆者も同じでした。お店の商品を見ているだけで、飽きることのない不思議な空間です。結果、この旗艦店は「ここにしかない!」インテリアを求める方々で連日賑わっています。

 そこには北村さんのインテリアに対する思いがありました。
「衣食住という言葉がありますが、日本では『住』の地位が、あまり高くありません。その『住』のプライオリティーを引き上げていきたいんです」

 その差を痛感したのは北村さんが家具業界に入る前に見た「ミラノ・サローネ」という世界最大級の展示会。規模の大きさとおしゃれさ、そしてインテリアがファッションの一部として受け入れられていることに衝撃を受けました。

 そこで、あえて奇抜な「KARE」を日本に導入し、インテリアに対する日本人の価値観をもっと向上させていきたいというのが、北村さんの思いです。

 目を引く海外インテリアと比べて、日本の国産家具メーカーは厳しい環境に置かれているそうです。北村さんは国産家具メーカーの良さも、もっと知ってもらいたいと考えています。

 そこで、メーカーであるナガノインテリアと小売店であるリビングハウスがコラボレーションで、ナガノインテリアの工場の横に連なる出荷場に、体験型インテリアショップ「ウッドランド」を作りました。ここウッドランドでは、子どもが体験できる家具作りのワークショップや、木の家具やおもちゃで遊べるキッズプレィエリア、そして、子どもも楽しめる工場見学を企画しています。

 「西洋のインテリアが進んでいるのは、子どもの時に親と一緒に何度もショップに行っていることがあります。子どもの頃から家具に親しめる環境を作りたかったんです」と、北村さん。

 メーカーと小売店が、タッグを組んでビジネスを展開することは、昔は考えられなかったそうですが、日本の家具メーカーを応援したい、そして何より、子どもの頃から家具に親しんでもらいたい、という熱い思いがこのコラボレーションを実現させました。

【メソッド3】( 奇抜なブランド )でインテリアの価値観を向上