伝統技術として受け継がれてきた「京(きょう)黒紋付(くろもんつき)染(ぞめ)」。しかし、昔はどの家庭にもあった紋付が着物文化の衰退と共に生産量が激減して黒染め業も存続の危機となります。
 そこで京都紋付は、伝統技術を活かして、着物の紋付以外でかつてない黒への挑戦を始め、この京都の小さな黒染め専門店が、世界に認められるまでになりました。
 それでは、黒一色で勝負する京都紋付のおとなメソッドをひも解いていきましょう。

【京都紋付の「諦めない」メソッド
【メソッド1】今までにない黒が(???)を生む
【メソッド2】常識を捨て、黒の(???)を広げた
【メソッド3】黒染めの技術を(???)化
【メソッド4】(???)を黒染めでよみがえらせる

 では、まずメソッド1から見ていきましょう。

【メソッド1】今までにない黒が(???)を生む

 京都市中京区。かつて壬生(みぶ)菜の栽培が盛んだった この地域は、良質な地下水に恵まれ、京友禅などの染色工場が数多く集まっています。
 今回の主人公である京都紋付社長の荒川徹さんは、代々受け継がれてきた黒染めの伝統を守る4代目です。
 「一番大切にしていることは黒を極めるということです。黒専門・黒一筋なんで、我々の持っている技術は世界に通用すると思っています」と荒川さん。
 その言葉から、黒に対する自信とこだわりが伝わります。

「黒」にこだわる荒川社長
「黒」にこだわる荒川社長

 では「京都紋付」の見事な黒は、どのようにして生まれるのでしょうか?
 染料は、京都の染料店で特別にブレンドしてもらったもの。水で溶くと深みのある黒色に変化し、壬生の井戸水がよくなじみます。真っ白な絹の生地をその染料に漬け込むと、あっという間に白い絹に黒が染み渡り染まります。黒の力強さを感じる瞬間です。ムラにならないよう、上げ下げを繰り返しながら2時間半かけて染め上げ、乾かすと見事に黒く染まった生地が生まれます。

ブラックボックスが生み出すさらに深い黒

 しかし、それだけでは荒川さんは満足しません。
 京都紋付では、独自に開発した機械を使ってさらに黒を深めていくんです。いやいや、十分黒いですよ、荒川さん! 黒をさらに黒く染めて……そんなに変わりますか?
 「我々が『ブラックボックス』と呼んでいるこの機械に生地を通すと、さらに黒くなって出口から出てきます」と荒川さん。

独自開発した機械でさらに黒くします
独自開発した機械でさらに黒くします

  変わりました!
  写真では分かりにくいかもしれませんが、さらに黒が深くなりました。

同じ黒でも黒さが違う
同じ黒でも黒さが違う

 カリスマモデルでありながら、自らもファッションブランドをプロデュースする益若つばささんは「私も黒のデザインをするとき、いろんな黒を持ってきてもらうんですけど、黒といっても藍が強かったり、緑がかっていたりで、なかなか思った『黒』ってないんですよ」と言います。

 

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