皆さん、普段どんなタオルを使っていますか? 筆者もそうですが、正直そこに大きなこだわりがある人はまれで、身体や顔が普通にふければ十分という方が多いのではないでしょうか?

 そんな中、バスタオル1枚が1万円。安いものでもバスタオルが4000円、フェイスタオルが1500円と、強気の価格設定ながらも、売れているタオルがあるのをご存知でしょうか?

 そんなタオルを作っている会社が「IKEUCHI ORANIC」。

<table><tr><th colspan="2">「IKEUCHI ORGANIC」DATA</th></tr><tr><td>・創業</td><td>1953年</td></tr><tr><td>・年商</td><td>5億円(2017年4月1日現在)</td></tr><tr><td>・社員数</td><td>27人</td></tr></table>
「IKEUCHI ORGANIC」DATA
・創業1953年
・年商5億円(2017年4月1日現在)
・社員数27人

 他のタオルとは全く違う、肌触りや吸水性に惹かれる人が急増し、高くてもユーザーの心をわしづかみにするタオルが大人気となり、現在IKEUCHI ORGANICの年商は5億円に上ります。

1枚1万円のタオルがなぜ売れる?

 なぜ1万円の高級タオルがこんなにも売れるのでしょうか? もちろんそこには、タオルへのとんでもない愛情と合わせて、苦難の歴史、さらには理想の追求がありました。

 その常識を覆すタオル製造の裏側・メソッドに迫ってみましょう。

【IKEUCHI ORANICの「追求」メソッド】
【メソッド1】(???)は度外視! 最高品質のタオルを届ける
【メソッド2】コンセプトを徹底した(???)を確立
【メソッド3】(???)を見つけてもらう直営店を展開

 まずはメソッド1から見ていきましょう。

【メソッド1】(???)は度外視! 最高品質のタオルを届ける

 瀬戸内海に面した愛媛県今治市は、「今治タオル」で有名なタオルの町。今も100を超えるタオルメーカーが生産を続けています。

 ここに本社を構えるのが、タオルメーカーの「IKEUCHI ORGANIC」。タオルメーカーらしからぬ社名ですが、その由来はのちほど。

 その礎を築いたのが、代表の池内計司さん。

 「僕らは生まれたときにはタオルに包まれて生まれてくるんです」と話します。

 なるほど! 確かに生まれて最初に身に纏うものはタオルですね。

 「そのときから毎日タオルを使っているので、それぞれにタオルに対する感性はあるはずなんです。朝起きたときに気持ちのいいタオルで顔を拭くと、1日気持ちいいでしょ? ですから、皆さんには良いタオルで顔を拭いてほしいんです」

 毎日使うタオルだからこそ、使うたびに小さな幸せを感じてほしい。そんな池内さんの思いが込められたIKEUCHI ORGANICのタオルは、どのようなタオルなんでしょうか?

 タオルは最初の工程で4000~5000本の糸を組み合わせて織っていきます。良いタオルを作るには良い糸が大事になってくるそうですが、IKEUCHI ORGANICが使うのは全て有機栽培で育ったオーガニックコットンの糸。それも通常よりもかなり細い糸を使います。糸は細ければ細いほど、肌触りがソフトになるそうです。

 しかし、糸が細すぎると強度が弱く、タオルが織りづらくなります。そこで細い糸を3本あわせて使うなど、強度を上げながらも柔らかさを保つ工夫をしています。それでも、どうしても糸が切れやすくなり、コンピューターで自動管理されている機械もちょくちょく止まりますが、糸が切れるたびに職人さんが結び直して手間ひま掛けながら作業していきます。

職人さんが手間ひまをかけて生産する
職人さんが手間ひまをかけて生産する

 また、IKEUCHI ORGANICの糸は化学糊を使わないため、乾燥すると切れやすくなってしまいます。そこで加湿器をフル稼働させ、工場の湿度を60%に保つなどタオルを柔らかくするための工夫を欠かしません。

 タオルの織り方にも特徴があります。表面のパイルと呼ばれる起毛部分の長さは従来の2倍。こうすることで吸水力が格段にあがります。タオルを1センチ角に切り取り、水の入ったコップに落とすと、IKEUCHI ORGANICのタオルは水を吸ってわずか1~2秒で沈みます。この吸水性を示すテストは、品質の高さで知られる今治タオルの基準「5秒以内に沈むこと」を遥かに上回っています。

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