さて、みなさんは、お酒は飲まれますか? 筆者は、もちろんお酒は美味しく頂く派なのですが、改めて年齢を重ねると好きな食べ物が変わっていくのと同時に、好きなお酒の種類が変わっていくことも実感しております。特にここ数年は日本酒の美味しさに唸ることが増えてきました。

酒店の3階は丸ごと専用冷蔵庫

 「日本酒にこだわったお店」は世の中に数多くあると思いますが、今回の主人公・山中基康さんのこだわりは日本有数と言っても過言ではありません。なにしろ、山中さんのお店がある建物は、1階が入り口で2階に全国各地の蔵元から仕入れた地酒のみを取り扱った酒店。そして4階は、そのお酒に相性ぴったりなお料理とお酒が楽しめる居酒屋。では、「3階はどうなっているか?」といいますと、なんと、山中さんは3階のフロア全体を「日本酒専用の冷蔵庫」にしてしまいました。3階の全体が冷蔵庫ですよ!

“酒のビル”をつくった山中さん
“酒のビル”をつくった山中さん

 しかも、酒の種類や酒質によって3つの部屋に区切り、それぞれ温度調整がなされているんです。一番温かい部屋で、13度から14度。ここは火入れをしたお酒を中心に保管。次の部屋は5度。こちらでは、火入れをしていない、いわゆる「生酒」が中心に置かれていて、最後の部屋は、マイナス5度。ここでは、大吟醸やスパークリングの日本酒が並んでいます。ちなみに、単なる冷蔵庫としてだけではなく、お客さんも自由に入って購入することができる売り場も兼ねているんです。

 それにしても、フロア全体を冷蔵庫に改築してまで徹底的に品質を管理するなんて、まさに「日本酒ファースト」徹底したこだわりです。

 そこまで日本酒を愛する山中さんのもとには、よりおいしいお酒を造るために蔵元さんがアドバイスを求めに来ることもあるそうです。

 みなさん、そんなご主人の経営する居酒屋さんに行ってみたくありませんか?
 そこが、大阪の繁華街ミナミの喧騒から少し離れた大国町という場所にひっそり佇む「佳酒真楽(かしゅしんらく)やまなか」というお店。

「やまなか」DATA<br />・創業: 1998年<br />・社員数:2人<br />・年商: 約2600万円(2016年)
「やまなか」DATA
・創業: 1998年
・社員数:2人
・年商: 約2600万円(2016年)

 やまなかは、常連さんはもちろん、全国の日本酒ファンが集まる居酒屋で「酒・食事・空間」の三拍子揃った名店。その魅力は何か? とお客様に尋ねたところ「日本酒と料理の相性が抜群です!」「日本酒がお好きな方は是非来たほうがいい!」。

 また「やまなか」にお酒を卸している酒蔵の1つで広島県呉市にある「宝剣酒造」の蔵元・土井鉄也さんは「私たちが作ったお酒を最高の状態でお客様に届けてくださることが、最高に嬉しく、また安心です」と、お客さんからも蔵元からも絶大な支持を得る居酒屋なんです。

 社長の山中さんに話を伺うと「美味しいお酒は人を幸せにします。感激しますよね。やっぱり。そういうお酒に出合ったらね……」と、一言一言を噛み締めながらお話くださいます。

 お客さんに美味しい日本酒を飲んで楽しく過ごして欲しい。そのためには何が必要なのか? 居酒屋やまなかのおとなメソッドをひも解いていきましょう!

【山中酒店の「追求」メソッド】
【メソッド1】(???)への飽くなき探求
【メソッド2】(???)で日本酒の楽しみ方を伝える
【メソッド3】(???)を楽しむための空間づくり

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