家電エコポイント制度は、2008年のリーマン・ショックを機に日本政府が景気対策の一つとして取り組んだ事業です。この期間、国から付与されるエコポイントを使えば、省エネルギー性能の高いエアコンや冷蔵庫、地デジ対応テレビをかなり割安な価格で手に入れることができました。

 また、2011年7月に地上アナログ放送は終了し、地上デジタル放送に完全移行することが決定していました。従来のアナログテレビだけではデジタル放送を見られないので、新たに地デジ対応テレビなどを買う必要があったのです。

 この2つの要因で、地デジ対応テレビへの買い替え需要が一気に盛り上がりました。最盛期は地デジ対応テレビが1日に約1万台売れるほどの人気ぶりでした。これによりジャパネットの2010年の売上高は1759億円、経常利益136億円と、ともに過去最高となりました。

 そんな状況が地デジへの完全移行を境に一変しました。あれほど売れていたテレビがパタリと売れなくなったのです。もちろん完全移行後の落ち込みは予想していましたものの、それをはるかに超えていました。業界全体でテレビ市場は3割ほど縮小するのではないかという予測がありましたが、実際には7割減となりました。

 ジャパネットも当然ながら煽りを受け、テレビの販売額はピーク時の5%程度まで激減したのです。

 当時の主力商品であるテレビの販売不振が大きく響き、2012年度の売上高は1170億円、経常利益は73億円。2010年度と比べると、売り上げは3割以上、利益は5割近くの大幅減になりました。

 普通に考えれば、会社始まって以来の危機かもしれません。でも、私はそう捉えていませんでした。シンプルに考えよう、そう思いました。

 年が明けて2013年、何をしたのかといえば、原点に立ち戻りました。新たな領域にチャレンジしたのではありません。ジャパネットがもともと得意としてきた家電の販売を強化していくことにしたのです。

 もちろん販売不振に陥ったテレビも家電です。しかし、テレビだけが家電ではありません。これまでテレビばかりを売ってきたけれども、掃除機や炊飯器やエアコンなどまだやり切れていない商品があるはずと大きく方針を転換しました。

 チャンスは意外と近くにあるものです。おかげさまで2013年12月期の売上高は1423億円まで持ち直し、経常利益は154億円と、過去最高益を達成しました。

業績のV字回復で大いに盛り上がった2013年12月の「大望年会」。社員や取引先など600人が集まった

過去でもない未来でもない今を懸命に生きる

 現状を受け入れ、やれることには八方手を尽くして天命を待つ。それでも、どうにもならないこともあるかもしれませんが、一心不乱にやっていれば、最後は神様が助けてくれる。私はそう信じています。