自分と他人の評価が一致している人ほど伸びる

 しかし、何をどのようにまねたらいいのか分からない。意外とそういう人が多いのかもしれません。

 これまでの経験上、自己評価と他人からの評価が一致している人ほど物まねがうまく、伸びしろも大きい。そういった人は教える側も指導のかいがあるから、さらに成長します。

 よく社員にこんな話をしていました。

 他人から見たら50点なのに自分では80点だと思っている。本当は60点くらいつけてもいいのに自分では20点、30点だという人もいる。どちらも良くない。

 傲慢でも謙虚すぎても駄目。なぜかというと、自己評価を正当にできない人は成長できないからです。自分の姿が正しく分かっていると、自分に足りない点を理解し、それを補うための努力ができるのです。

 受験勉強を例にしましょう。英語が弱い。その中でもとりわけ苦手なのは英文法なのか、長文の読解力なのか、ヒアリングなのか。そこに気づかないと、得点は伸びません。それと同じことです。みなさんは正しく自己評価できているでしょうか。自分で自分の評価をすることはとても難しいことなのです。

「我が位の程をよくよく心得ぬれば、それ程の花は一期失せず。位より上の上手と思へば、もとありつる位の花も失するなり。よくよく心得べし」(『風姿花伝』第一年来稽古条々)

 (自分の芸位の程度を正確にわきまえているならば、その程度の花は一生なくなるものではない。自分の本当の芸位よりもえらいように誤認していると、もとから有った花までも消えてしまうのである。よくよく理解しなくてはいけない)

 世阿弥も『風姿花伝』の年来稽古条々(ねんらいけいこじょうじょう)でこう言っています。

(この記事は、日経BP社『髙田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていく』を基に再構成しました。構成/荻島央江)

昨日の自分を超えていく――。
ライバルは「昨日の自分」。
他人と自分を比べず、「自分史上最高」を全力で追う。
ただそれだけでいつか自分がなりたいと思う自分になれる。
ジャパネットたかたの創業者・髙田明が
いつも頑張っているあなたに伝えたい成長のルールとは。

 不遇の時代をいかに過ごし、絶頂のときにいかに慢心を抑えるか。他人の評価に一喜一憂することなく、ただ、ひたすらに自分の夢を追い続けるための心構えとは何か。外見を飾り立てるのではない、内面からにじみ出る人の美しさとは何か――。

 ジャパネットたかたの創業者、髙田明氏が600年の時を超えて出会った盟友が世阿弥。能を大成した世阿弥の名言「初心忘るべからず」「秘すれば花」などを髙田流に読み解き、現代人に役立つエッセンスを紹介しています。また、能研究の第一人者、増田正造氏が監修。初心者も楽しく読めて、内容の濃い4編の解説を寄せています。