(3)のグローバル化を推進できる人材育成という課題に対しては、社長の私自身も研修のブラッシュアップを提案しました。

 例えば「社長と行く世界一周研修」。おじの鈴木喬会長が社長だったときから続いている名物企画です。社長が研究開発、営業などの社員5、6人と7~10日間をかけて世界数カ国を回ります。

 現地では展示会や工場、小売店などを視察するのですが、集団行動のため、最年長だったり語学が得意だったりするリーダー的な社員一人に全員が頼りがちでした。せっかくのチャンスに、ほかのメンバーは後ろを付いていくだけになっていたのです。

 そこで16年から、訪問先の会社で英語で自分の業務内容をプレゼンし、協力依頼をするという課題を与えました。

 そうなれば社員も必死です。驚いたのは入社2年目のあるR&D(研究開発)部門の社員。スイスの資材メーカーの社長を前に入社1年強の間に手掛けた研究について、次から次へと一生懸命に語ります。

 若者の思いがけない奮闘に私も思わず満面の笑みで拍手喝采してしまいました。ハードな研修ですが、自分のリミッターを外す醍醐味を体得する場になっています。

99%感謝の言葉

 社員研修に工夫を凝らせば、「貴重な体験をさせてもらった」という記憶が、社員の心に残ります。

 「こうした機会を設けてくれた社長と人事・総務グループに感謝します」

 ここ1年ほど、エステーの研修後に社員が記す感想文には99%、こんな感謝の言葉があります。経営者としての奮闘に実りがあったことを知るうれしい瞬間です。

 会社に対するロイヤルティーが芽生えるという意味でも研修は非常に重要だと感じています。

 人材は経営資源。今後も社員一人ひとりの得意分野を伸ばし人材を活性化させるため、全社一丸で成長への取り組みを続けます。

(構成:福島哉香、この記事は、「日経トップリーダー」2018年2月号に掲載した記事を再編集したものです)