マンネリ化しがちな社員研修。社長直轄、全社横断型のメンバーで、研修改革チームを結成した。ユニークで心に残る研修は、社員を成長させるだけではない。

「有意義な体験」を与えてくれた会社へのロイヤルティーも高まった。

(写真:PIXTA 写真はイメージです)
(写真:PIXTA 写真はイメージです)

 社長就任後、社員研修にかける費用を3割増やしました。

 人材開発に投資したいという思いは2010年の入社当初からありましたが、13年にいざ社長に就任すると、利益面の回復が優先課題。研修に手が及ぶようになったのは3年後でした。

 もちろんエステーに研修がなかったわけではありません。しかし、新入社員研修や入社3年目研修をはじめ、いずれも実施時期や内容が長年固定化されていることに私は疑問を感じました。

 研修を運営する人事担当の社員たちはどうしても、これまで通りの手堅いやり方に固執しがちです。その限界を打ち破るのには、フレッシュで多角的な視点からアイデアや意見を集めることが重要です。そこで立ち上げたのが全社横断型の「研修改革プロジェクトチーム」でした。

目的の提示が提案を生む

 メンバーは10人。半数は人事担当の社員ですが、残りの半数は製造や営業など幅広い部門から社員を選抜しました。
 どんなプロジェクトでも成功の鍵は目的の明確化です。全社横断型の混成チームならなおのこと。

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