そこで私は、「不毛な競争に身を投じることはやめよう」と社員に呼びかけ、シートタイプを新たな主力商品に指定しました。

 しかし、長年タンクタイプを売り慣れてきた社員にとって、切り替えは容易ではありません。

 そこで私の発した言葉に社員は驚いたでしょう。

 「粗利率の低いタンクタイプの売り上げが落ちても私は一切責任を問いません。皆さんの評価にも響きません」

社内引き渡し価格を開示

 さらに、これまで営業社員たちには明かしてこなかったある数字を開示することにしました。

 製造部門が営業に商品を渡す際の「社内引き渡し価格」です。営業社員は、社内引き渡し価格と小売店に自分が売った価格を比べれば、その取引から生まれた利益が大まかに分かります。こうして損益を見える化すれば、除湿剤においてシートタイプの売り上げを増やすべきことは誰の目にも明らか。担当者も納得しました。

 次に、主力商品シートタイプの除湿剤の新たな販売戦略を練りました。目を付けたのは、防虫剤です。当社の防虫剤「ムシューダ」は、業界トップシェア。そして防虫剤と除湿剤は、どちらもクローゼットや引き出しの中などで使われる。並べて売れば、「ムシューダ」のブランド力で除湿剤の売り上げも増えるに違いない。そう考え、小売店に対しシートタイプの除湿剤を防虫剤と同じ売り場の棚に陳列する提案を徹底したのです。

除湿剤のドライペット シートタイプと消臭剤のムシューダを並べて棚に陳列した

 この販売手法を導入した店では、すぐにシートタイプが売れ始めました。社員たちに結果を伝えると、自信を得てほかの小売店にも積極的に提案。さらに商談に工夫を凝らすようになりました。