私が2013年に社長に就任したとき、会社の売り上げは横ばいで、利益は減り続けていました。売り上げを伸ばしても、底から水漏れしてしまう状態。対策が必要でした。
原因はいろいろありましたが、大きかったのは重点販売商品(主力商品)の設定です。
エステーでは、防虫剤や除湿剤などの商品カテゴリーごとに販促を強化する「主力商品」を定めます。営業社員の評価でも、主力商品をどれだけ売ったかが重視され、誰もがその商品を一つでも多く売ろうと頑張ってきました。
しかし多くの商品カテゴリーで、利益の少ない商品が主力商品と位置付けられ、売れば売るほど赤字を生むことすらありました。この事態を見過ごすわけにはいきません。そこで粗利率の低い商品を主力商品から外し、粗利率の高い商品に差し替えていきました。
例えば、除湿剤の「ドライペット」というブランドでは、2種類の商品を展開しています。一つはプラスチック製の箱型のタンクタイプ。もう一つはハンガーのように吊るしてクローゼットに掛けたり、引き出しや衣装ケースの中に入れたりするシートタイプです。
粗利率が高いのは、シートタイプです。ところが営業社員が必死で売っていたのはタンクタイプでした。なぜなら昔からタンクタイプが主力商品とされてきた結果、売り上げの絶対額が大きかったから。ただ、タンクタイプの市場はレッドオーシャンです。価格競争の波にさらされ、利益は薄い。
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