褒めることは社員のモチベーションアップに必要不可欠ですからゼロにはしません。けれど、そこに時間をかけ過ぎない。社員は素直にハイと応じてくれました。

 とにかく時間を有効に使おう!

 会議の改革を通じて、私が社員に伝えたかったのはこれに尽きます。つまり生産性を上げること。

 何のためか。お客様にもっと喜んでもらうためです。

時間のムダは社員の不幸

 エステーは、消費者が手に取る最終製品のメーカーです。だからその消費者にもっと喜んでもらえる製品づくりをしていきたい。そのためには社員がハッピーでいなければなりません。ハッピーでいるためには時間のゆとりが大切です。そのゆとりを生むための生産性向上なのです。

 最近、看過できない事実を社内で発見しました。「会議のための会議」をしている管理職がいたのです。私は月に数回、部門長とマンツーマンで「社長ミーティング」を実施しています。ところが某部門長がこの社長ミーティングの対策として、部員全員を集めて一日がかりで会議をしていたのです。

 何ということ。どこかでこっそり指摘しなければならないと考えています(恐らくこの記事が出る頃には解決しているはず……)。

 時間のムダは会議以外にもたくさんあります。例えば、役員が私に決裁を求める際、やはり報告や前置きが長引いて、本題になかなか入らないことがあります。

 そんなときには笑いながら、机の上に置いた砂時計をポンと逆さにして、無言のうちに「砂が落ちるまでの数分間で話を終えてね」とプレッシャーをかけることも。

 もちろん社長になって月日がたち、信頼関係ができたからやれるようになったことです。念のため、付け加えさせてくださいね。

 面白いのは叔父の鈴木喬会長も、部下が的外れな長話をすると、愛用のバランスボールの上で上下に体を動かし始め、相手を制していたそうです。血は争えないのでしょうか……。

(構成:福島哉香。この記事は、「日経トップリーダー」2017年5月号に掲載した記事を再編集したものです)

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