社員が互いを思いやる温かな企業風土──。そこに深い危機感を覚えた。世代も価値観も異なる社員が対等の立場で意見をぶつけ合わなくてはイノベーションは生まれない。若手と中堅、そしてシニア。それぞれの世代の社員に合わせて工夫した人材活性化策とは。
管理職を前に、若手社員に成功事例をプレゼンしてもらうことから始めた(写真/PIXTA)
管理職を前に、若手社員に成功事例をプレゼンしてもらうことから始めた(写真/PIXTA)

 この会社は温かな空気に包まれている──。エステーに入社した8年前、そう感じました。社員は皆、愛社精神にあふれチームワークを大切に仕事に励んでいます。

 一方でそこに危機感を覚えました。互いを思いやるあまり、他の社員と異なる意見を言い出しにくい空気がある。長く存続してきたオーナー企業に多く見られる傾向だと思いますが、どうしても組織が内向きになりがちでした。

 しかし会社が成長するためには、集団の中での切磋琢磨が必要です。チームワークに優れた社員の良さを生かしつつ、競争心を育み、「出る杭を伸ばす」ような人材教育をしたいと考えました。

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