消臭芳香剤「シャルダン ステキプラス」(左、スティック本体 右、お部屋用ゲル)
消臭芳香剤「シャルダン ステキプラス」(左、スティック本体 右、お部屋用ゲル)
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 佐藤氏のデザインは、製品を使う人の立場になって考えられたもの。デザイナーの自己満足でしかない「美しさ」とは違いました。製品本来の機能性を生かしていますから、社員もひと目でその素晴らしさを理解してくれるはず。

 だから佐藤氏には、社員に向けたプレゼンテーションをするに当たって、新しいデザイン案を持参してもらいました。すると、それを見た社員たちの態度が明らかに変わりました。

大げさなくらいに褒める

 もう1つ大切なのは、情緒的価値を取り入れたより良い製品開発へのモチベーションを上げることです。ここで意識したのが、「大げさなくらいに褒める」。

 これは、外資系企業で働いていた時の上司を見習ってのことです。日本人の社長が、驚くほど大仰に部下を称賛する人だったのです。些細なことでも、「グレイト!!」「グーッド!!」と大きな声と身振り手振りで褒めます。

 気恥ずかしくても嫌な気はしません。部下は「こんなに喜んでくれるなら」と、もっと頑張ってしまう。そんな好循環が生まれていました。

 デザイン革命の際、私は社員たちが少しの理解を示してくれるだけでもオーバーなくらいに褒め、感謝の気持ちを表現するよう意識しました。すると、初めは消極的だった社員たちも、ものすごくうれしそうな顔になります。それを見ている私自身もうれしい。そんな化学反応の結果なのか、前向きな提案が出るようになりました。

 デザイン革命に取り組んで約4カ月後、第一弾となる製品が生まれました。「消臭プラグ」と「自動でシュパッと消臭プラグ」です。

 この2つがいきなりバカ売れしたなんてことは、残念ながらありません。けれど、エステーの社員が製品の情緒的価値に目を向ける画期となったのは事実。その延長線上に昨年の「シャルダン ステキプラス」のヒットがあります。

 長年かけてできた社員の意識を変革するのは、至難の業です。

 理論だけではなく、具体的な形にして見せるなど五感に訴えること、そして、どんな小さなことでも、チャレンジする行動を褒め、感謝。その繰り返しで気持ちは変わっていくのです。

(構成:福島哉香、この記事は「日経トップリーダー」2017年4月号に掲載した記事を再編集したものです)
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