反対の声には鈍感力で

 しかし、こうした人事は決して一発でうまくいくものではありません。特に事業部の抱える課題と事業部長との間には相性があります。例えば、事業が攻めの時期に守りタイプの部長は合いません。各人の個性に合わせて配属したつもりでも、実際に担当させてみなければ分からないことも多い。

 完璧を求めて時間をかけるより、まず走らせてから考えよう。改革直後はトライ&エラーの時期。そう割り切っていくつか予防線を張りました。

 その一つが「事業部長はコロコロ変えます」とあらかじめ公言すること。「早ければ半年ほどで交代してもらいますが、気に病まないでください。より適した場所で活躍してもらうために経営陣が試行錯誤しているだけのこと。本人に落ち度はない」と伝えました。

 そうでなくても変革には現場の抵抗が付きものです。事業部制は大掛かりな組織改革でした。当初は「ややこしくなるだけ」「打ち合わせが増えて無駄」などと反対意見を口にする社員も少なくありませんでした。

 ですが形になるまでは耐えることも大事です。そんなときに役立つのが鈍感力。今が正念場とあえて耳をふさいだこともありました。そうして1年もたてば、反対意見や文句は次第に聞こえなくなりました。まして今では改革の効果で特別ボーナスまで出ているのですから。

 今、私には会社が一丸となって前進している実感があります。

(構成:福島哉香、この記事は「日経トップリーダー」2017年9月号に掲載した記事を再編集したものです)

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