「装飾が同じパターンに陥りがちなので、たまには違う人の意見がほしい。会社に日報を送っているが、何のコメントもない日が続くと自分は何をやっているのかと虚しく感じる」
彼女は続けました。
「褒めてほしいのではない。見ていてほしい」。
この発言を聞き、私はこのままでは彼女が会社を辞めてしまうと危機感を覚えました。それと同時に、離職が多い理由もスキルが共有されない理由も分かりました。
社員の目の前で謝罪
番組の収録では、最後に「永田さん」の職場体験を指導してくれた社員を本社に呼び、実は社長だったと明かします。
その場で私は社長としての至らなさを詫びました。
そして、お客様相談室のエキスパートにはこう約束しました。「皆さんの集めたお客様の声を、経営陣や関連部署に定期的に伝えてもらう場をつくります。私もきちんと現場に足を運びます」。
一方、フィールドスタッフの女性社員には、新人教育や若手社員の指導に当たってほしいと頼みました。
不安も多くあったテレビ出演でしたが放映後、うれしいコメントが寄せられました。
「エステーには仕事に誇りを持つ、いい社員がたくさんいるね」
まさにその通り。でもいい社員をそろえることは一朝一夕にはできません。先人の育てた社風の賜物。改めて感謝しました。そして社員にもっと仕事を楽しみ活躍してもらうため、現場の声に敏感になろうと心に誓いました。
(構成:福島哉香、この記事は、「日経トップリーダー」2017年8月号に掲載した記事を再編集したものです)
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