ゲームにあまり馴染みのない人のために説明すると、「チュートリアル」とは、初めてアプリを起動した後に展開される、解説画面のこと。ここで画面のガイドの通りにゲームを始めると、遊び続けるのに必要な様々な操作が覚えられます。

 ポケモンGOのチュートリアルでは、まずゲームの中で自分の分身となり、「ポケットモンスター(ポケモン)」を捕獲する「アバター」をつくります。性別や髪型、服装などを選んで、完成です。

ポケモンGOのチュートリアルの画面。3匹のポケモンから1匹を選んで、ボールを投げて当てる練習をする

 すると、アバタ―の前にポケモンが3匹現れ、そのうちの1匹を狙って、ボールを投げる練習をします。うまく命中すれば、ポケモンを捕まえられます。

 これでチュートリアルは終了。ほかのスマホゲームと比べると、拍子抜けするほどあっさりしたものです。

 一般論として、最近のスマホゲームにはチュートリアルを詳しくする傾向があります。本編のゲームを始めるまで10分以上のチュートリアルをこなす必要があるものも珍しくありません。スマホゲームそのものが、以前より複雑化していますから、ある意味、仕方のないことです。とはいえ、チュートリアルが長すぎて、本編のゲームをやる気力が萎えてしまうという批判もあります。

部下に教わるゲームのノウハウ

 だからといって、ポケモンGOのチュートリアルは短いにもほどがあります。すでに説明した通り。アバタ―をつくって、ポケモンの捕獲の練習をしておしまい。私はほんの1分足らずで終えてしまったと記憶しています。

 ところが、いざ本格的にゲームを始めようと町に出ると、チュートリアルでは説明されていない事態が次々に襲い掛かってきます。

 例えば、巨大な「ジム」の出現です。ここは自分が捕まえたポケモンを、ほかのプレーヤーが持つポケモンと対戦させる場所。しかし、どうやって戦わせるのか、ほとんど説明がありません。
 どうしたものか……。結局、私は若い社員に尋ね、ジムで戦うにはどうしたらいいかを教えてもらいました。

 ジムは一例に過ぎません。このゲームをしていると、自分より先行している人たちに聞いてはじめて知るノウハウが続々、出てきます。
 こうしてクチコミに頼ってゲームを進めるうちに、この「シンプルすぎるチュートリアル」に込めた、開発者のある意図を感じました。

 私のように、誰かに質問するプレーヤーが増えることで、ユーザー間のコミュニケーションを活性化する。

 これも、このゲームの目論見なのではないか。

 SNS(交流サイト)のゲームと違って、今のところ(9月21日現在)ポケモンGOでは、プレーヤー同士がオンラインでコミュニケーションできる機能はありません。
 その代わり、わざと説明をシンプルにすることで、遊び方をめぐる議論が盛り上がり、現実世界で「バズる」ように設計した可能性は大いにあるでしょう。