「ポケモン世代」の村上社長が、「ポケモンGO」ではその機能を把握しきれず、若い社員に教えてもらうことに……。29歳にしてもう「古い人」になってしまったのか?
 いや違う。わざととしか思えないほど、チュートリアルがあまりにシンプルだからだ!
 そこに実は、設計者の深い意図が隠されているのではないか?
 そう思い至った村上社長。ポケモンGOの超裏技から「ニコニコ動画」の時報、そしてコーポレートガバナンスまで、今回は、あらゆる仕組みの裏にある「設計思想」を探求します。(前回は、こちらをご覧ください)

「ポケモンGO」

今年7月にリリースされるや、世界的なヒット作となったスマートフォン(スマホ)向けゲーム。開発したのは、米ナイアンティックと任天堂の関連会社ポケモン。ナイアンティックは、米グーグルで位置情報ゲーム「イングレス」を成功させた部門が、2015年に独立したベンチャー。ポケモンGOでは、1996年に任天堂から発売された人気ゲームタイトル「ポケットモンスター」をベースに、GPS(全地球測位システム)やAR(拡張現実)といった最新技術を織り交ぜ、ゲームに新しい世界観をつくり出した。

 今回のお題は、今さらながら「ポケモンGO」です。

 日本での配信スタートからすでに約2カ月。「人気のピークは過ぎた説」もささやかれますが、子どもから大人まで巻き込む社会現象を起こしたことは事実。歴史に名を残すゲームであることは間違いなさそうです。

 ゆえに、様々な分野の人たちが、様々な切り口で、ポケモンGOについて語っています。
 例えば、ITの分野からは「AR(拡張現実)技術の本格普及の画期となった」。
 また、精神医学の分野からは「メンタル不調の改善に役立つ可能性がある」など。

 一方、私が実際にやってみて気になったのは、ここでした。

 「チュートリアルがシンプルすぎる」

「ポケモン世代」が、「ポケモンGO」に四苦八苦

 私が初めてポケモンGOに挑戦したとき、少しばかり戸惑いました。機能をすべては把握しきれなかったのです。

 我ながら、意外です。

 私はいわゆる「ポケモン世代」です。最初のポケモンゲームが発売されたのが、小学生のとき。当時から友達同士で、携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」を通信ケーブルでつなぎ、互いの持つポケモンを対戦させて遊んでいました。
 でも、スマホ版は、まったく別物。そう簡単にはいきませんでした。

 何せ、チュートリアルが、シンプルすぎるのです。

「ポケモン世代」を自認する。小学生のとき、最初のポケモンゲームが発売され、夢中になった(写真:栗原克己)
「ポケモン世代」を自認する。小学生のとき、最初のポケモンゲームが発売され、夢中になった(写真:栗原克己)

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