残念ながら、11年前の私は、グーグルの大胆な動きを目の当たりにしながら傍観している、その他大勢の一人でした。
 莫大な開発費をかけて作ったはずのアクセス解析サービスを、なぜ無料で提供するのか。そう不思議に思いながらも、起業後は、ありがたく自社で利用させていただいていました。

 しかし、やがてさすがにグーグルの意図に気づきます。
 そこで、数年前、Analyticsグループという専門部署を設け、「Googleアナリティクス」に代わる、独自の分析基盤「Livesense Analytics」を開発しました。  すでに効果は出始めています。自社に合った解析手法のカスタマイズが可能になったことで、ユーザー像がより明確になりました。この解析結果は幅広い分野に応用できます。自社の事業課題の分析に加えて、顧客へのレコメンデーション(お薦め)やWeb広告の出稿の効果を上げるのにも役立ちます。
 例えば、私たちが運営する求人サイトに集まる求職者の方々に、お薦めの求人をはじめ、さまざまな情報を、今まで以上に個別にマッチする形で提供できるようになりました。その結果、ご希望に合う求人がより簡単に見つかり、応募率、採用率向上につながる、といった具合です。

 最初にイノベーションを行った人は、もちろん偉大です。ただし2番手、3番手として、1番手の革新にどれだけ巧みに対応できるかというのも重要です。史実を振り返れば、信長が最終的な勝者になったわけでもないのですから。

嘘でも勉強になればいい?

 このように現代のITビジネスにも重なる「信長の3段撃ち」ですが、実は後世の脚色だったという説が有力です。

 信長の一代記が書かれた歴史書として定評があるのは、旧臣の太田牛一が江戸時代初期にまとめたとされる「信長公記」。加えて、これを基に、小瀬甫庵(おぜ・ほあん)がいくつかの逸話を加えて書いたという「甫庵信長記」が有名です。
 が、「甫庵信長記」には3段撃ちらしき記述があるものの、そのネタ本だったはずの「信長公記」には、それらしい記述がないそうです。
 だから、3段撃ちは、甫庵の脚色だったのではないか。そんなふうにも言われています。でも甫庵の解釈もまた面白い。

 マンガ家でも小説家でも、あるいは経営者でも、それぞれが自分のフィルターを通して、歴史を読み取り、歴史から何かを学ぼうとしている。経営者として発展途上の私には、それぞれのフィルターから感じ取れる、その人のものの見方や、考え方というのが、とても勉強になるのです。

 その意味で最近、すごいなと思ったのは、ソフトバンクグループ社長の孫正義さんです。