まず、「キングダム」です。

 キーパーソンとなる女性軍師、河了貂(かりょうてん)は、秦に属する「飛信隊」の参謀として活躍しています。

 このとき飛信隊は難局に直面していました。進軍の途中、大きな川に行く手を阻まれ、しかも川の向こうでは、敵軍が飛信隊を待ち受けています。

 川の地形を調査したところ、歩いて渡れそうな浅瀬もありました。しかし、そんな当たり前の経路で進めば、上陸した途端、待ち受けた敵の大軍にやられてしまいます。

 どうすれば、川を無事に渡りつつ、敵を撃退できるのか――。

 河了貂は考えに考え抜いた末に、ある作戦を思いつきました。

 その作戦の詳細は割愛しますが、最大のポイントは、ある1部隊が敵の意表をつき、あえて激流を渡るところにありました。死と隣り合わせの危険な任務です。しかし、成功すれば、劣勢をはね返せるはずでした。

 そしてこのとき河了貂が、そんな重要な部隊のリーダーに抜擢したのが、冒頭の通り、渕(えん)だったのです。

不器用でも、期待したい部下がいる

 この人事を聞いたほかの幹部は不満を漏らします。渕は古株ながら軍才がなく、作戦の最重要ポイントを任せるにはあまりに力不足と感じたからです。

 ところが河了貂は、本人も含めた幹部がそろう会議の席上、冒頭の名ゼリフで、みんなを説得するのです。

 一方、舞台を変えて、創業間もないリブセンスは、どうだったでしょう。

19歳で会社を設立した村上社長。今、29歳(写真:栗原克己)

 アルバイト求人サイト「ジョブセンス」を立ち上げて間もなく、大規模なリニューアルを決意しました。1件の求人について、クライアントが4枚の写真しか載せられなかったのを、7枚に増やすといった内容です。

 新しいフォーマットを導入するので、それに合わせて、すでに掲載していた求人広告も一つひとつ更新しなくてはなりません。その数は数千ページにも及び、人手も時間も膨大に必要な一大プロジェクトでした。

 私はそのプロジェクトのリーダーとして、ある社員を抜擢しました。

 彼は仕事を上手にさばける器用なタイプではありませんでした。しかし、ベンチャー企業で働く若手に不可欠な強い向上心に加え、会社への愛情の深さでは、ほかの誰にも負けませんでした。