「魔女の宅急便」を見るのは、初めてではありませんでした。何しろ、誰もが知る宮崎駿監督の名作です。この映画が公開されたのは私が3歳のときで、小さい頃から何度か見ています。

 だから、いい大人になって、あらためて友人に「一緒に見よう」と誘われたとき、最初は失礼ながら、「今さら『魔女宅(まじょたく)』ですか?」と、あまり期待はしていませんでした。

 ところが、いざ見てみると、驚きです。以前なら気にも留めず、流して見ていたような場面に、今回は目が釘付けになる。その筆頭が、思わずEvernoteにセリフを書き写してしまった、キキとウルスラさんの、この掛け合いです。

名匠・宮崎駿の思いを察するに……

 このシーンには、さまざまな解釈が可能だと思いますが、私は、宮崎駿監督が、自分自身の仕事に対する実感を投影しているように感じました。

 魔女やパン職人の「血」とは、いわゆる天職の例えであり、本能によって突き動かされる感覚ではないでしょうか。宮崎監督もきっと、スランプを前に何度となくじたばたと試行錯誤を繰り返して苦しみ、けれど最後は、自分の天職なり、本能を信じて前に進んできたのではないか。そんな自身の生き方を、ウルスラさんに重ね合わせたように思えました。

 そしてその感覚が自分には、痛いほどよく分かってしまった。

村上社長。根っからの事業家を自認する(写真:栗原克己)

 私は、事業家は自分の天職だと感じます。そして事業家としてのスランプに苦しみ、じたばたしてからふと立ち止まって、やっぱり自分の力を信じて歩き出す。そんな経験をしたばかりだったからです。

 そんな経験をしたからこそ、以前は見過ごしていたこのシーンの重要な意味が見えた。

 このような成長を、私は「解像度が上がる」と呼んでいます。さまざまな経験や情報をインプットして脳のビッグデータを充実させていくと、それらを感知する、脳のセンサー装置も進化して、以前には見えなかったものが、くっきりと見えてくる。すなわち、解像度が上がるのです。