この10年の世の中を振り返ると、IT(情報技術)の力で変わったことは多いですよね。私がパーソナルトレーナーなんていう贅沢を、普通のジム通いと比べてさほど高くない出費で享受できるのも、ITの恩恵です。
もっと大きなところでは、コンピューターの処理スピードが速くなる一方でコストは下がり、ビッグデータを解析できる基盤が整いました。
スマートフォンの登場も大きい。リアルタイムのやりとりがいっそう進んで、個人の情報発信がより活発に、より当たり前なものになった。
「Power to the people(人々に力を)」じゃないですが、「アラブの春」のように、ごく普通の人たちがネットでつながったことで力を増大させた革命も起こりましたよね。個人の発言力が強くなっていき、世の中に及ぼす影響力も、会社や組織から個人に比重が移ってきた。
でも、人々の日々の生活がこの10年で幸せになったかというと、私自身はあまりなった感じがしないです。「幸せの国」と呼ばれるブータンなんかも、むしろ情報が少ないから幸せという側面も大きいんじゃないかと。で、情報あふれる世界の中で、みんなが「幸せって何だろう」と問い直す時期が来ているような気がします。
例えば、学生と話していても思うんですよ。起業する若者が「儲かったからイェーイ♪」だった時代は終わり、「私たちは世の中にどんな価値を提供しているか」を、ピュアに考え込む傾向が強まっています。一番大事なものが、お金より、精神的な豊かさになってきた。その文脈で、健康志向やエコ志向をすごく感じるんですよね。
そして現役経営者の私も暴飲暴食時代を経て、ヘルシー志向に。そしてパーソナルトレーナーです。
パーソナルトレーナーに経営指導
私が最初に契約したときは、拠点となるジムを持たない「放浪のパーソナルトレーナー」だった彼。ですが、あるとき、トレーニング中の雑談で「もっと事業を拡大したい」と漏らした。
「事業」の2文字を聞けば、黙っていられないのが事業オタクの私です。
彼は当時、パーソナルトレーナー間で加速する価格競争に苦しんでいました。そこでまず、単純な価格比較をされにくいように、プログラムに特典を付けるようにアドバイスしました。

さらに読むべき本を紹介しました。その筆頭が、『あなたの会社が90日で儲かる!』。マーケッターの大御所、神田昌典さんの初期の代表作です。顧客の感情を強く揺さぶる「エモーショナル・マーケティング」を提唱し、DMやチラシの文言をどう工夫すべきかなど、パーソナルトレーナーの彼のような個人事業主に役立つ情報が満載です。ショッキングピンクという異色な表紙の色にちなんで、通称「ピンク本」とも呼ばれています。
そしてそのとき、私がもうひとつ紹介したものが、遅ればせながら今回のお題、スマートロックだったのです。
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