29歳にして、創業10周年の上場企業を率いる起業家。そんなリブセンス・村上太一社長の今を伝えるこの連載。第2回目は、スマホで開閉ができる新世代の鍵、「スマートロック」をレビューする。新しいデジタル機器に目がない村上社長が、発売直後の昨春、さっそく手に入れたスマートロック。それが、20代にして既に顕著だという健康志向、そして事業オタクの性分とタッグを組んで、意外な人のお役に立つことに……。

スマートロック
スマートフォンを鍵の代わりに使えるようにする電子デバイス。村上社長が使った「Akerun」(写真)は、日本のベンチャー企業フォトシンス(東京・品川)が2015年春に発売した、後付け型の製品。現在では、ソニーが出資するQrioなどからも同様の製品が発売されている。
起業したのは20歳のとき。早いもので10月には私も30歳になります。そしてその先の10年を考えるとき、基本的には明るい未来が見えているのに、ひとつだけ私の心を暗くするものがあります。
それは「肉体の衰え」です。
「まだ30歳で何言ってるんだ?」というご意見もあると思いますが、10年前とは体力が圧倒的に違うのを感じています。昔なんて深夜0時まで仕事して、それから焼き肉をがっつり。でも「胃もたれって何?」という感じでした。ご飯を食べた後、眠くなるということも知らなかった。
老化は自然の摂理です。当然なのです。でも、それを感じて暗い気持ちになるのがイヤ。だから、老化に打ち勝たなければと思うようになりました。
堀場製作所の創業者の堀場雅夫さんが亡くなる2年前、「年の差62歳の学生ベンチャー対談」(こちら)という企画をさせてもらいました。

当時堀場さんは89歳。そして最近困っていることとして「老眼が進んで、本がなかなか読めないんだよ」とおっしゃる。
格好いいなあ、と。会長から退かれた後も大いに活躍していて生涯現役。90歳を目前に、もっともっと本を読みたいという知的好奇心をしっかり持っていらっしゃる。自分も62年後に、堀場さんのようでありたいと思いましたよね。
で、そのために、何より大切なのは体だぞ、と肝に銘じたんです。
むやみに脂肪をつけないように、食べるものに気をつけるようになったし、最近は消化器官になるべく負担をかけないようにと、お昼ご飯にスープを飲んでいます。それからストレスのたまらない精神的に気持ちのいい生活も心がけるようになった。
しかし、大きな課題が残りました。エクササイズ、すなわち運動です。
ジムは「行く」から続かない
その前からスポーツジムに入会していましたが、あれってどうしても通うのに挫折しませんか? 私も長続きした試しがありませんでした。
しかし、老化に打ち勝つには、今度こそジム通いが長続きする仕組みを作らねば。それにしても、どうして長続きしないのか。ジムに出かけなくてはならないからではないか。ならばジムのほうからうちに来てくれればいいのでは、と思いつきました。
そこで、自宅に来てくれるパーソナルトレーナーを探すことにしました。
検索エンジンに「パーソナルトレーナー」「自宅」「派遣」などと入れてリサーチ。こうしてたどり着いたのが、マッチョトレーナーの「彼」でした。以来、火曜日の朝6時半と土曜日の朝7時50分の週2回、彼は私の自宅にやってきます。眠っていても、インターフォンの音に起こされます。こうして、欠かさずエクササイズを続けて2年という、自分史上の最長レコードを更新しています。
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