お金を使ってNPOを支援する方法としては、クラウドファウンディングや寄付もあります。これらと私が考える「NPO発行の仮想通貨市場」が大きく違うのは、投機目的で参加する人も受け入れることです。「このNPOは将来、応援する人が増えそうだな」という青田買いで、お金儲けしたい人も歓迎して、市場を活性化させるのです。
投機目的といっても、この「仮想通貨の価値(=価格)」は、あくまでもそのNPOが社会に与える「正のインパクト」を世の中がジャッジした結果です。だから、本当に人々に必要とされる活動はどんどん拡大するし、利己的な活動は淘汰されていくと、仮説を立てています。

ちなみに、仮想通貨の名前も考えていまして、「SI(エスアイ)コイン」。「ソーシャル・インパクト・コイン」の略称です。「SIコイン・リブセンス」といった具合に、「SIコイン」の後に団体名をつけることで、共通市場で流通していることを明確化します。
取り引きに手数料を課し、その一部を市場に参加する団体に還元することで、NPOを資金面からも支援できます。将来的には投信のように、「教育」とか「環境」といった分野別のインデックス投資を可能にする仕組みもつくりたい……。夢は、どんどん広がります。
もちろん、仮想通貨の市場を一からつくるのは簡単ではありません。資金が必要ですし、法律上、税制上の様々な問題を解決する必要もあるでしょう。ただ、仮想通貨に関する法整備が進めば、決して不可能な話ではないと思います。
お金儲けばかりが重視される価値基準の転換を図りながら、ポスト資本主義の新たな仕組みをつくっていける、いい方法だと思います。
若手は「大義」を求めている!
具体的なやり方はさておき、ポスト資本主義の新たな価値観と仕組みを求める起業家は、私だけではないはずです。
私と同世代の経営者には、お金儲けよりも社会貢献を重視するタイプが目立ちます。儲けることがゴールになりがちな今の資本主義の枠組みに違和感を抱く人は少なくない。
リブセンスの社員もそうです。良くも悪くも、「稼ぐぞ!!」というギラギラしたタイプは、ほとんど見ません。
そんな私たちが、次に賭けるべき事業はやはり、社会に「正のインパクト」を与えるものだと思うのです。
(構成:福光恵、編集:日経トップリーダー)

AIが“同僚”となるであろう
2020年の新しい働き方を見通す1冊
AIが本格的に活用される時代、社会はどう変わり、企業はどうように変化していくのか。そのとき、人間に求められる能力とは――。 本書では、ビジネスの現場で採用事例とグローバルの最先端で活躍するAIの専門家による解説を通して、AIをうまく活用し、人間が能力を存分に発揮できる未来の新しい働き方を示します。
●いまなぜAIなのか?人類はどう向き合うべきか
●「AIが同僚」の時代に向けた働き方のロードマップ
●AIによって代替可能性が高い仕事とは?600職について試算・分析
●職場での実用化の今と未来 30社の最新導入事例を職種別に解説
●遺伝子分析、ソムリエ、CMクリエイター・・・AIの進化と専門技術 ほか
Powered by リゾーム?