実はこの事業構想、私が今「人生を懸けてやってもいいかも?」と思っているアイデア。かなり壮大です。一部の社員には、会食のときなどに熱く語っているのですが、リアルに実現するまでには多くのカベを乗り越えなくてはなりません。まだまだ練り切れていませんが、大ざっぱに言ってみると……。

 仮想通貨で「NPO(非営利組織)の上場市場のようなもの」を作る。

 企業の株価は一般に、将来の収益性に対する「理性的な予測」によって決まると考えられています、だから、「PER(株価収益率)」といった指標が重視されるわけです。しかし、実は「理性的な予測」ばかりでなく、「感情的な支援」によって動く部分も大きいと、私は感じます。「この会社の姿勢が好きだから」「この経営者はいつかすごいことをやってくれそう」といった感情が株価を形成している部分を、軽視できないと思うのです。

 お金もそうですが、株の価値は、取り引きする「人」を通して形成されます。だから「人の感情」がその価値を動かすのはある意味、必然です。

株価の乱高下。人間な理性的な予測と複雑な感情が入り混じって動く(写真:ぱくたそ/すしぱく)

 そこで想起されるのが、ビットコインです。今や月に10兆円以上の取引があるともいわれますが、元々の価値はゼロに等しい。実体のないものに、人が価値を与えたのです。

 ならば、NPOがそれぞれ独自の仮想通貨を発行したらどうか。その仮想通貨を、各NPOを応援する人たちが購入する。

 応援する人が多ければ、その仮想通貨の価格(=価値)は上がる。少なければ下がる。結果として、仮想通貨は「株のようなもの」として機能します。

 仮想通貨は、従来の通貨とは違い、政府や中央銀行が管理していないオンライン上の通貨。為替手数料などが安く抑えられ、どこの国でも両替不要で使える。専用口座を介してドルや円で購入するが、レートは乱高下する。最も有名な「ビットコイン」は、14年に取引所のマウントゴックスの破綻で価値が暴落したが、現在は回復。調査会社ビットコイニティーによると、17年1月には世界で約11兆円のビットコインが流通したと見られる。

「きれいな心」をお金に換える

 ここで重要なのは、上場企業の株と違って、NPOの仮想通貨の価格が、収益性に対する「理性的な予測」では動かないことです。基本的には、その団体に対する人々の「感情的な支援」だけで動きます。「このNPOはいいことをやっているな」とか、「世の中のためになっているな」と思った人が多いほど、その団体の仮想通貨は値上がりします。

 現実にNPOが発行する仮想通貨が、上場企業の株のように機能するには、プラットフォームとなる共通の「市場」が必要です。私はリブセンスが、そんな「NPO発行の仮想通貨市場」の運営主体になれないかと、思いを馳せているのです。

 この市場の存在価値は、非営利目的であるNPOが世の中に与える「正(プラス)のインパクト」を可視化することです。資本主義がつくった仕組みを利用しながらも、「NPO発行の仮想通貨市場」は、基本的には支援者の気持ちで動くわけですから。その結果は、NPOが世の中に提供する「価値」ないしは「正のインパクト」に比例するはずと、私は考えます。

 人の心は複雑ですが、誰の心にも、他人の立派な行為に拍手を送る美しい部分があります。そんな「きれいな心」の動きを、仮想通貨を使って「見える化」したい。