昨年11月から、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画を一気に見たというリブセンスの村上社長。きっかけはトランプ大統領。その誕生を、大統領選開票の3カ月以上前から、鮮やかに予測していた眼力に興味をそそられた。
こうしてムーア作品を見まくった結論は……。
資本主義が歪んでないか――? 自分のなかに10年来あった問題意識を、再確認した。
がぜん気になってきたのが「ポスト資本主義」。お金ではない価値基準を軸にした新しい社会をつくりたい。自分が事業家としてできることは何か。
そこで目を付けたのが、仮想通貨。仮想通貨の仕組みを使ってNPO(非営利組織)を評価する「NPOの上場市場のようなもの」をつくりたいと熱く語る。非営利の活動に対する人々の「いいね!」の気持ちを、お金に換える。名付けて「SI(ソーシャルインパクト)コイン」構想。村上社長が今、「人生を懸けてもいいかも」とすら思う、「ポスト資本主義」の事業アイデアとは?

発売元 日活株式会社
販売元 株式会社ハピネット
ブルーレイ ¥2800(税別)
「ボウリング・フォー・コロンバイン」
1999年、米コロラド州のコロンバイン高校で発生した、生徒2人による銃乱射事件の背景を、マイケル・ムーア監督が、お得意の「アポなし突撃取材」で探るドキュメンタリー映画。12人の生徒と1人の教師が射殺された事件は、なぜ起きたのか。隣国カナダとの比較などから、米国の銃社会に問題提起。さらに貧困、差別、格差など、銃社会を生んだ米国の病巣を浮き彫りにする。タイトルの「ボウリング」には2つの意味があり、犯人たちが事件の直前にボウリングを楽しんだことと、ボウリングのピンが人間に似た形をしていることから、銃の射撃練習に使われることを、引っかけた。2002年公開。翌年アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。
昨年11月からマイケル・ムーア監督の映画作品を見まくりました。
きっかけは、トランプ大統領の誕生。誰も予想していなかった勝利が決まった直後、大統領選開票の数カ月も前からトランプ勝利を予見していたムーア監督の記事が、ネットで脚光を浴びました。
2016年7月23日、米国ハフィントンポストへの寄稿(日本語版はこちら)で、こう断言しています。
<トランプ大統領。さあみんな、この言葉を言ってみよう。だってこれから4年間、この言葉を言うことになるんだよ。「トランプ大統領」。>
彼は、トランプ大統領が誕生する「5つの理由」として「中西部の票読み」や「怒れる白人、最後の抵抗」「ヒラリー問題」などを挙げています。ラストベルト(さびた工業地帯)で困窮するかつての中流階級のやるせない思い。女性やアフリカ系などマイノリティを優遇する政策への白人労働者層の根深い抵抗感。そしてヒラリー・クリントン候補の嫌われぶり……。
日本にいる私たちがトランプ勝利の後に、嫌になるほど聞かされた選挙分析を、3カ月以上も前にことごとく指摘しています。
さらに、そんな人々の隠れた本音が、誰の目にも触れない投票ブースの中でどんな行動と結果を生むかを、鮮やかに描き出しました。
この人には、世の中がちゃんと見えている。インテリ層の偏った見方とは違って、フラットに世の中を見ている人だと思いました。
資本主義が歪んでいる?
そんなムーア監督にがぜん興味を持ちました。その時点で、私が見ていた彼の作品は、「シッコ」のみ。まだ見ていなかった「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」「キャピタリズム~マネーは踊る」「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」などの作品を次々に見ました。
代表作「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年公開)では、銃犯罪が絶えない米国社会に問題を提起。「華氏911」(04年公開)では、9.11事件からイラク戦争に踏み切ったジョージ・W・ブッシュ政権を鋭く批判。ほかにも米国の医療保険制度の病巣に斬り込む「シッコ」(2007年)など、大国の暗部を描く作品が多く、トランプ大統領を生んだ背景分析にも重なる。
資本主義は歪んでいる――?
そんな思いが私には、学生起業をしたときからありました。ムーア作品をまとめて見て、あらためて強く感じました。

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